米財務省、対外投資規制の最終規則を発表、2025年1月から中国対象に施行(米国、中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月30日 11時0分
米国財務省は10月28日、対外投資規制プログラムに関する最終規則を発表した。近日中に官報で正式に公示され、2025年1月2日から施行される。ジョー・バイデン大統領は2023年8月に、懸念国に対する対外投資規制プログラムの策定を指示する大統領令を発表していた。
同大統領令では、米国人(U.S. person)が半導体・マイクロエレクトロニクス、量子情報技術、人工知能(AI)の3分野で、懸念国の個人・事業体・政府と取引する場合に、財務省への届け出を義務付け、国家安全保障に特に深刻な脅威をもたらす場合には、取引を禁止するプログラムを創設すると定めた。懸念国には、中国(香港とマカオを含む)のみを指定した。これを受け財務省は、2024年6月に規則策定案事前公告の(ANPRM)を発表し、パブリックコメントを受け付けていた(2024年6月24日記事参照)。
今回発表された最終規則では、主に次の用語の定義や罰則など、対外投資規制プログラムを実施するための詳細が規定された(詳細は、2024年10月30日記事、2024年10月30日記事参照)。
対象取引に関する米国人の義務
対象取引および例外取引のカテゴリー
半導体・マイクロエレクトロニクス、量子情報技術、AIにおける特定の技術および製品に関する技術仕様
財務省への届け出時に提供することが義務付けられる情報
取引を行う前に、米国人に求める合理的かつ入念な調査の知識基準と期待
最終規則違反とみなされる行為と罰則
最終規則により、米国からの対外投資が一部規制されることになるが、財務省は発表で、国家安全保障にリスクをもたらす可能性のある特定の機微技術や製品に関連する懸念国への投資に限定しているとし、米国の開かれた投資環境の維持を強調した。ホワイトハウスも同日に発表したファクトシートで、対象となるのは、次世代の軍事、サイバーセキュリティー、監視、情報収集の中核になる技術だとして、安全保障上重要な分野に絞っていると述べた。また、最終規則の策定にあたっては、産業界や連邦議会のほか、米国の同盟国などと調整してきたとも説明した。一方で、政治専門紙「ポリティコ」(10月28日)は、「この展開は、米中間の経済競争における著しいエスカレーションを意味し、中国政府からの厳しい反発に直面しそうだ」と指摘している。
(赤平大寿)
(米国、中国)
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