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鯖江の海外展開事例を紹介、中小企業支援機関が連携し成果を披露(福井、台湾、イタリア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月31日 0時15分

ジェトロ、中小機構(中小企業基盤整備機構)、鯖江商工会議所は7月23日、福井県鯖江市の企業・団体による海外展開事例と各機関による支援サービスを紹介するセミナーを鯖江市内で開催した。中小企業の海外展開支援を行う3機関が連携し、それぞれが取り組み・成果を披露する初めてのイベントとなった。

このセミナーは、昨今の急速な円安と少子化の進展に伴う国内市場の縮小予測を背景に、福井県企業の海外展開ニーズが拡大していることを踏まえて開催した。ジェトロ福井事務所の清島優花係長は「地域貢献プロジェクト」(注)に基づく、越前漆器協同組合による台湾への販路開拓を支援した事例を紹介。中小機構北陸本部の中川眞男アドバイザーは「海外展開ハンズオン支援」で、鯖江商工会議所との協力によるイタリア・ミラノでの海外販路開拓支援事例を説明した。鯖江商工会議所の田中英臣特命監はARグラスやVRゴーグルを用いたバーチャルモールおよび越境EC(電子商取引)事業を紹介するとともに、デジタルとリアルを融合した産地の「ものづくり」をPRし、販売につなげる取り組みを披露した。

写真 鯖江商工会議所・田中英臣特命監による講演の様子(ジェトロ撮影)

鯖江商工会議所・田中英臣特命監による講演の様子(ジェトロ撮影)

続くパネルディスカッションでは、海外展開に取り組む鯖江市内の事業者が登壇した。

老舗レンズメーカーの乾レンズの諸井勇磨氏は「縮小する日本市場でのビジネスは先行きが厳しく、自社ブランド製品を開発し、市場が拡大する海外に販路を求めていく必要があった」と説明。海外販路開拓に当たっては、中小機構のハンズオン支援を活用し、アドバイザーによる指南を受けながら、イタリア・ミラノで「飛び込み」を含む営業活動を行った。その結果、「文化が異なる相手に対しても臆することない度胸が醸成されたことが最大の成果だ」と述べた。他方、日本と外国では消費者の嗜好(しこう)が違うため、外国に合わせた対応が求められる点を課題とした。

越前漆器協同組合の大久保諭隆次長は、組合の海外展開の取り組みとして、越境ECへの挑戦、有識者による海外向け新商品開発とオランダでの越前漆器のPR事業、ジェトロの地域貢献プロジェクトを通じた台湾への販路開拓を紹介した。地域貢献プロジェクトでは、「現地市場調査や専門家による支援、商談機会の提供や通訳手配などが役に立った」とコメントした。他方、組合企業の懸念点として、言語や代金回収などを挙げた。これら課題については、「言語はAIによる機械翻訳の利用、代金回収はジェトロが提供する『海外企業信用調査』を活用することで乗り越えられる」とした。

他方、大久保次長は「組合企業に海外展開を進める決心をしてもらうことに苦心している」と語る。しかし、先行して海外展開に取り組む組合企業が海外販売実績を積み上げており、これまで関心の持たなかった企業が海外展開に興味を持つようになり、海外展開に取り組む企業が増えてきていると述べた。

写真 パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

パネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)

(注)中小企業の海外販路開拓・拡大を目的とし、海外バイヤーとの商談や商談成果を高めるための地域単位での取り組みを支援する事業。

(齋藤寛)

(福井、台湾、イタリア)

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