1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

ギリシャのAIファクトリー「ファロス」が2025年3月から開発に着手(ギリシャ、EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月26日 14時50分

ギリシャのデジタル・ガバナンス省は12月11日、欧州高性能コンピューティング共同事業(EuroHPC JU)の欧州AI(人工知能)ファクトリー・イニシアチブの枠組み(2024年2月1日記事参照)において、欧州初のAIファクトリーが設置される7つのホスティングサイトとして、ギリシャが、フィンランド、ドイツ、イタリア、ルクセンブルク、スペイン、スウェーデンとともに選定されたことを発表した。

今回、ギリシャへの設置が承認されたAIファクトリー「ファロス(PHAROS)」では、2025年内に稼働予定のスーパーコンピュータ「ダイダロス(DAEDALUS)」を活用する。「ダイダロス」は2023年12月に正式に開発プロセスが開始され、EU基金である国家復興・回復計画「ギリシャ2.0」や公共投資プログラム、EuroHPCを財源とした「新しい高性能コンピューティングシステムの開発」のプロジェクトだ。ギリシャ最大規模となるだけでなく、欧州でも最も強力なスーパーコンピュータの1つとなる見込みで注目度が高い。

AIファクトリー「ファロス」はAI技術の研究開発の拠点として、主に医療、文化と言語、持続可能な開発の分野で、ギリシャ国内および欧州レベルでのニーズに対応することを目指す。「ダイダロス」の高性能コンピューティング・インフラを利用し、ほかの欧州インフラとのシームレスな連携を可能にすることで、具体的には次のようなベストプラクティスに基づいた革新的なエコシステムを構築する。

高度なコンピューティングリソースやビッグデータ、専門知識を提供し、競争力を強化。
欧州のAI規則(2024年5月27日記事参照)に適応した信頼性の高いAIサービスの開発を支援。
天然資源の管理や気候変動への対応のため、衛星データを解析して、サステナビリティ分野におけるイノベーションを促進。
AI分野の人材育成や学術的な協力を通じてスキル向上と人材誘致を実現。
欧州デジタルイノベーションハブ(EDIHs)(注1)やナショナル・コンピテンス・センター(NCCs)(注2)、その他の主要プロジェクトと連携することにより、イノベーションを促進。
AIを活用して、国境を越えたイノベーションエコシステムを構築し、EU全体に利益をもたらす。

「ファロス」プロジェクトの総予算は3,000万ユーロで、そのうち50%はEuroHPC JUから、残りの50%は国の予算で賄われる。プロジェクトは2025年3月に開始され、総期間は36カ月を予定している。デジタル・ガバナンス省傘下の技術研究インフラ機構(GRNET)が主導し、国立自然科学研究センターDEMOKRITOS(NCSRD)、アテネ国立工科大学(NTUA)、アテネ研究センター、国立投資基金などのパートナー機関とも協力し、政府の特別事務局と緊密に連携しながら進められる。

(注1)EDIHsは、欧州デジタルイノベーションハブ(European Digital Innovation Hubs)の略で、中小企業などのデジタル技術採用を支援する。

(注2)NCCs(National Competence Centres)は、EU圏内の各国に設置された専門知識と技術に関するスキル開発センターで、国内外の技術革新や研究開発を支援・促進する役割を担う。

(井上友里)

(ギリシャ、EU)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください