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7月の米個人消費支出は前月比0.5%増も、今後の持続可能性に課題(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月2日 15時0分

添付資料PDFファイル(151 KB)

米国商務省は8月30日、7月の個人消費支出(PCE)を公表した。消費の伸びは強めの数字となっているが、特殊要因含みのほか、貯蓄率は極端に低下しており、今後の消費の持続可能性に疑問を持たせる内容となった。

所得関連では、個人所得が名目ベースで前月比0.3%増(前月0.2%増)と、市場予測の0.2%増をわずかに上回った。内訳をみると、雇用者報酬が0.3%増(寄与度0.2ポイント)、利息・配当は0.1%減(マイナス0.0ポイント)だった(添付資料表1参照)。

税を除いた可処分所得は名目ベースで0.3%増、実質ベースで0.2%増と、ともに前月(いずれも0.1%増)から上昇した。名目可処分所得の使途をみると、消費支出が0.5%増(寄与度0.5ポイント)、利払い費が0.2%減(マイナス0.0ポイント)、貯蓄が7.5%減(マイナス0.2ポイント)となっている。可処分所得の伸びを上回るペースで消費を行った結果、貯蓄率は2.9%で、新型コロナウイルス感染拡大前の半分以下の水準に低下しており、余剰貯蓄の枯渇や労働市場の減速と併せて考えると、消費の持続可能性に疑問を投げかける内容となっている。

名目個人消費支出(前月比0.5%増)の内訳をみると、財部門(寄与度0.2ポイント)では自動車(0.12ポイント)、食品(0.06ポイント)などが、サービス部門(0.30ポイント)では住居費(0.10ポイント)、レクリエーション(0.05ポイント)、金融・保険(0.04ポイント)などが押し上げに寄与した。実質ベースでの個人消費支出は0.4%増で、財部門(0.3ポイント)では自動車(0.15ポイント)、食品(0.04ポイント)などが、サービス部門(0.13ポイント)ではヘルスケア(0.04ポイント)、住居費(0.03ポイント)などが押し上げに寄与した(添付資料表2参照)。名目・実質両面で押し上げ項目となっている自動車については、6月のサイバー攻撃に伴う減少(2024年7月2日記事参照)の反動増とみられ、この影響を除いて見た場合、消費に前年ほどの強さはみられない。

物価関連では、PCEデフレーターは前年同月比2.5%増(前月2.5%増)、前月比では0.2%増(0.1%増)とわずかに上昇した。また、食料・エネルギーを除くコア指数の伸びは前年同月比2.6%増、前月比0.2%増と、いずれも前月から変わらなかった。市場予想は、前年同月比ではPCEデフレーターが2.6%増、コア指数が2.7%増で、予想をわずかに下回る伸びとなった。前年同月比の内訳では、住居費(5.2%増)、金融・保険(5.5%増)などサービス部門(3.7%増)が引き続き主な押し上げ要因となっている(添付資料表3参照)。

PCEデフレーターの数値は低下がみられなかったものの、米国連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は8月に行われたジャクソン・ホール会議での講演で「インフレに関する上振れリスクは減少し、雇用に関する下振れリスクは増加している」として、金融政策の調整に当たって従来よりも労働市場を重視する姿勢を示しており(2024年8月26日記事参照)、今回の結果が9月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げの阻害要因となる可能性は低そうだ。

(加藤翔一)

(米国)

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