米大統領選、無所属ケネディ氏が選挙活動中断、トランプ氏支持を表明(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年8月27日 11時0分
米国大統領選挙に無所属で立候補していたロバート・ケネディ・ジュニア氏は8月23日、自身の選挙活動を中断し、共和党候補のドナルド・トランプ前大統領を支持すると表明した。
ジョン・F・ケネディ第35代大統領(民主党)のおいに当たるケネディ氏は、2023年4月に民主党から大統領選に立候補した。その後、ジョー・バイデン大統領が民主党候補の指名争いを有利に進めていた中で、10月に無党派に転向して立候補を継続していた(2023年10月11日記事参照)。
これまでの選挙戦では、バイデン氏とトランプ氏以外の第3候補として一定の支持を集めており、米国シンクタンクのピュー・リサーチ・センターが、バイデン大統領の選挙戦撤退前の2024年7月に行った世論調査(注1)では、「もし今日大統領選が行われたとして誰に投票するか」との質問に対して、44%がトランプ氏、40%がバイデン氏、15%がケネディ氏などと回答していた。他方で、民主党候補がカマラ・ハリス副大統領に交代した後の8月の世論調査(注2)では、45%がトランプ氏、46%がハリス氏、7%がケネディ氏などと回答していた。ハリス氏の登場によって、これまでのケネディ氏の支持層の一部が、ハリス氏の支持に移ったことも指摘されていた(2024年8月15日記事参照)。
ケネディ氏は同日にアリゾナ州で演説し、「もはや選挙戦で勝利する現実的な道があるとは思っていない」と述べ、選挙活動の中断理由を説明した。また、トランプ氏について、「私たちは多くの重要な問題で一致している」と述べ、同氏への支持を表明した。なお、選挙活動は終了ではなく中断だとして、多くの州で自身に投票することができるとした。一方で、「私が勝利する見込みはなくとも、(私への投票が)選挙結果を変える恐れのある約10の激戦州では、私に投票しないよう有権者に呼びかける」と述べ、票が割れることを回避したい考えも示した。実際にペンシルベニア州では、投票用紙からケネディ氏の名前の削除手続きが進められているという(議会専門紙「ザ・ヒル」8月23日)。
また、ケネディ氏は同日、選挙活動の中断発表後にアリゾナ州で開催されたトランプ氏の選挙集会に参加した。トランプ氏は集会でケネディ氏について、「多くの価値観を共有する人物だ」「彼はこの選挙戦に大きな影響を与えるだろう」と述べ、ケネディ氏の自身への支持を歓迎している。
なお、ハリス氏とトランプ氏以外には、大学教授のコーネル・ウェスト氏、緑の党のジル・スタイン氏などの候補が残るが(注3)、前述の世論調査でも合計1%程度の支持にとどまることから、選挙戦への影響は小さいとみられる。今後はケネディ氏の支持層が、想定どおりトランプ氏の支持に移るのか、またはハリス氏に流れるのかが注目される。
(注1)実施時期は7月1~7日、対象者は全米の成人9,424人(登録有権者7,729人を含む)。
(注2)実施時期は8月5~11日、対象者は全米の成人9,201人(登録有権者7,569人を含む)。
(注3)ジェトロ特集「2024年米国大統領選挙に向けての動き」および、「大統領選挙の仕組み-第3候補」も参照。
(葛西泰介)
(米国)
外部リンク
- ハリス氏が全米支持率平均値で上回るも、ジョージア州などでトランプ氏が依然優位、大統領選世論調査(米国)
- 米USTR、米ケニアSTIPの「包摂性」章の条文案要約を公開(米国、ケニア)
- バイデン米政権、建築物のエネルギー効率向上に2億4,000万ドル以上拠出(米国)
- バイデン米政権、メキシコのドイツ系自動車工場での労働問題解決を発表(米国、メキシコ、ドイツ)
- 米USTR、IRAの税額控除に対する中国のWTOパネル設置要請にパブコメ募集(中国、米国)
- 米フォード、大型EVの導入中止を含む新電動化戦略を発表(中国、米国、ポーランド)
- 米商務省、IPEFサプライチェーン協定の下での重要分野と重要物品リストを公表(フィジー、ブルネイ、インド、インドネシア、韓国、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、日本、オーストラリア、ニュージーランド、米国)
- 米運輸省、自動車の通信技術に関する「V2X展開加速計画」を発表(米国)
- 米政府、IPEFクリーン経済協定や公正な経済協定の締結の国内手続きを完了(フィジー、ブルネイ、インド、インドネシア、韓国、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、日本、オーストラリア、ニュージーランド、米国)
- パウエル米FRB議長がジャクソン・ホール会議で講演、「金融政策を調整すべき時が来た」と発言(米国)
この記事に関連するニュース
-
焦点:歴史的選挙戦戦ったハリス氏、なぜ敗北したのか
ロイター / 2024年11月7日 19時9分
-
米大統領選、激戦州アリゾナで両候補が選挙集会を開催(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月5日 14時0分
-
5つの激戦州でトランプ氏優位に、米大統領選世論調査(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月1日 13時0分
-
米大統領選の勝者は誰か?米国株と為替の反応は?直前の分析(窪田真之)
トウシル / 2024年10月31日 8時0分
-
トランプ氏、米国の若年男性層に焦点、ケネディ氏を保健福祉省などでの起用示唆(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月29日 11時0分
ランキング
-
1ロシア、ドネツク州ダルネ制圧と発表 ウクライナは認めず
ロイター / 2024年11月22日 13時27分
-
2ロシア発射ミサイルは新型中距離弾道弾、初の実戦使用=米国防総省
ロイター / 2024年11月22日 9時56分
-
3【速報】中国政府 日本人に対する「短期滞在ビザ」免除措置再開を発表
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月22日 16時38分
-
4アイスランドで火山がまた噴火 この1年で7回目
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年11月22日 8時36分
-
5「ロシアを愛するからこそ、勝たせてはならない」 毒殺未遂・投獄――自由を手にしたロシア反体制活動家が訴える“未来”
日テレNEWS NNN / 2024年11月22日 12時10分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください