カナダ中銀、政策金利を3.75%に引き下げ、4会合連続(カナダ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月29日 0時30分
カナダ中央銀行は10月23日、政策金利を0.50ポイント引き下げ、3.75%とすることを発表した(政策金利レート推移参照)。今回の引き下げは4会合連続(2024年9月5日記事参照)。また、経済見通しを示す金融政策報告書も同日に併せて発表した。
消費者物価指数(CPI)のインフレ率が6月の前年同月比2.7%に比べ、9月は1.6%と大幅に低下したことを受け(2024年10月21日記事参照)、目標とする2%付近への回復に向け、経済成長を後押しするべく、引き下げに踏み切った。中銀は住宅関連費用やその他一部のサービスなどの価格上昇圧力は緩和傾向になり、経済の過剰供給が吸収されるにつれて、インフレに対する下降圧力も和らぎ、上昇圧力と下降圧力がほぼ均衡するため、インフレ率は今後も目標付近で推移するとみている。
中銀は「2024年上半期のGDP成長率は前期比年率約2.0%で、消費は引き続き増加傾向にあるものの、1人当たりでは減少している。一方、労働市場は引き続き軟調で、9月の失業率は6.5%だった。人員削減は小幅にとどまっているが、人口増加で労働力は拡大しながらも、雇用は低調で、特に若者やカナダ移民移住者に影響が出ている。全体として、カナダ経済は依然として供給過剰の状態にある」と分析している。金利の引き下げに後押しされ、GDP成長率は2024年1.2%、2025年2.1%、2026年2.3%と徐々に上昇するとの予測を立てている。
発表を受けて同日、トロント・ドミニオン銀行の調査部門TDエコノミクスのディレクター兼シニアエコノミスト、ジェームズ・オーランド氏は「6月以降、相次いで利下げが実施されたとはいえ、経済の現状を踏まえれば、政策金利は依然として高過ぎる。バランスを改善するため、2025年までにさらに150ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の引き下げを予想する。従って、利下げが今後進むペースは不透明ながら、金利政策の方向性はしっかりと下向きだ」とコメントした。
次回の金利発表は12月11日に予定されている。
(井口まゆ子)
(カナダ)
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