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安定的な成長も、国ごとの格差目立つ、IMF世界経済見通し(世界)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月27日 1時40分

添付資料PDFファイル(137 KB)

IMFは1月17日、最新の「世界経済見通し」(英語日本語)を発表した。世界経済の成長率(実質GDP伸び率)について、2025年と2026年をともに3.3%と予測した(添付資料表参照)。前回見通し(2024年10月24日記事参照)と比較して、2025年は0.1ポイントの上方修正、2026年は据え置きとなった(注1)。IMFは、「世界経済の成長は安定し続ける見通しだが、2000~2019年の平均成長率3.7%を下回り、勢いに欠ける」とした。また、国ごとの成長予測にばらつきが目立つと指摘した。2025年の世界経済予測は前回から大幅な変化はなかったが、米国での大幅な上方修正がユーロ圏などの他の主要国・地域での下方修正を相殺したことが反映されている。

主要国・地域別にみると、2025年の米国の成長率は2.7%と、前回予測よりも0.5ポイント上方修正された。2024年のゲタ効果(注2)に加え、労働市場の堅調さと投資の加速などを反映した。ユーロ圏は2025年を1.0%(前回比0.2ポイントの下方修正)とした。経済の回復が見込まれるが、地政学的緊張が引き続き市場心理を圧迫し、緩やかなペースとなる予測だ。中国の2025年の成長率は4.6%で、前回予測から0.1ポイント上方修正された。これは、2024年11月に発表された財政パッケージを反映しており、貿易政策の不確実性の高まりと不動産市場の低迷による投資への悪影響を大方相殺するかたちとなった。インドは、2025年と2026年の成長率が6.5%と、堅調に推移すると予測する。

IMFは今回の見通しで、ディスインフレ(物価上昇率の低下)の進展は今後も続くと説明し、2025年は4.2%、2025年は3.5%となる見込みだ。世界経済見通しに対するリスクは下方傾向で、5年先の予測は2025~2026年の平均を下回る約3%となっている。しかし、米国では減税などの新たな拡張的政策を含む財政緩和政策が、短期的には経済活動を押し上げ、世界経済の成長にわずかなプラスの波及効果をもたらす可能性がある。他方、IMFのピエール・オリビエ・グランシャ主任エコノミストによると、「過度の規制緩和は、金融面でのセーフガードを弱め、金融の脆弱(ぜいじゃく)性を増大させ、米国が危険な過熱と急後退の道をたどることになるリスクを伴う」と警告する。そのほかの大半の国・地域では、政策の不確実性が高まる中で下振れリスクが目立つ。

政策によってディスインフレの進展に混乱が生じれば、金融政策における緩和姿勢への転換が中断され、財政の持続可能性と金融の安定に影響を及ぼす恐れがある。

(注1)IMFの予測は、本報告書公表時点で実施されている現在の政策を前提としている。最近の市場動向や、貿易政策の不確実性の高まりによる影響は一時的と想定され、その 影響は約1年で解消されることを織り込んでいる。

(注2)IMF見通しで、各年のGDPは当該年の各四半期の数値の平均値を採用している。このため、例えば2024年の当該統計の下期の成長率が上期と比べて大きな伸びとなっている場合、2025年はそのスタート時点で既に2024年の平均値よりも高い数値を示すこととなり、その分の成長率がかさ上げされることとなる。

(板谷幸歩)

(世界)

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