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大連で水素を用いた船舶燃料の給油基地を着工、中国最大級に(中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月7日 15時35分

中国・大連市の長興島(大連市島しょ地域)で1月3日、水素を用いた船舶燃料の給油基地と化学品・新エネルギー貯蔵物流パークの着工式が開催された。同基地では、製造、貯蔵・輸送、貿易、給油サービス、技術のイノベーション創出などを行うことを目的としており、水素のサプライチェーン構築を目指している。全体では約550億元(約1兆2,100億円、1元=約22円)を投資する計画。水素を用いた船舶給油所としては中国最大級になると期待されている(「中国新聞網」2025年1月3日)。

水素を用いた船舶燃料とは、水素を原料としてアンモニア、メタノール、SAF(注)、メタンなどを生成して船舶に用いるものだ。これらは、一般的に再生可能エネルギー由来のグリーン水素を原料とするものであり、船舶用燃料をグリーン化することにより、低炭素社会の実現に貢献する。

同基地における水素の製造については、中国広核集団(CGN)やエンビジョンなどと協力し、今後2~3年をめどにグリーンメタノールとグリーンアンモニア、SAFをそれぞれ年間30万トン生産する見込み。

倉庫・物流については、中遠海運(COSCO)が危険化学品の陸上輸送、保管、海上輸送などの物流サービスを提供する。同サービスの一翼を担う埠頭(ふとう)が、2025年上半期に完成・運用開始する予定だ。また、中国鉄道瀋陽局集団と協力し、鉄道輸送専用線を建設する。

貿易、給油サービスは、中国船舶燃料(CMBSC)、華光海運(Wah Kwong)と、グリーン船舶燃料の調達・販売、給油サービスで提携し、2030年までに売上高約1,000億元を見込んでいる。

また、技術のイノベーション創出については、中国科学院大連化学物理研究所、大連理工大学、大連海事大学との産学連携を通じて、水素の利活用分野の研究開発を進める。

大連では、2024年4月に「北東アジアグリーン船舶用燃料サプライチェーン連盟」が設立された(2024年5月9日記事参照)。また、同年12月に交通運輸部が承認した「遼寧沿海港湾整備計画(2025年)」では、グリーン船舶燃料の給油基地の整備も盛り込まれている。今回の水素燃料給油基地の建設は、大連市長興島のグリーン水素産業のサプライチェーンを強靭化し、大連市のグリーン船舶用燃料の北東アジア地域の給油センター地位を確立するものと位置づけられる。

(注)SAFとは「Sustainable Aviation Fuel(持続可能な航空燃料)」の略称で、化石燃料で作らず、既存の航空燃料と化学的に類似しており、航空機の構造変更をせず使用可能な環境にやさしい燃料のこと。動物・植物由来のバイオマスや大気中から回収された炭素などを基に生産され、炭素排出量が従来の航空燃料の平均80%まで削減可能とされる。

(李莉)

(中国)

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