米保健福祉省、米国における銃暴力を公衆衛生の危機と宣言(米国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月2日 11時0分
米国の保健福祉省(HHS)のビベック・マーシー長官は6月25日、「銃暴力に関する外科医長の勧告」を発表し、米国における銃暴力は公衆衛生の危機と宣言した。全40ページからなる同勧告では、「銃器による傷害と暴力防止のための公衆衛生的アプローチ」のほか、「米国における銃暴力:死亡と負傷」「米国での銃暴力による集団的被害」「銃暴力への要因」に分けて説明されている。
勧告では、2020年以降、米国の子供と若年層(1~19歳)の死因の1位が銃器によるもの(殺人、自死、事故など)だと発表した。また、学校における銃乱射事件などを地元で経験すると、事件後2年間に青少年が抗うつ薬を使用する割合が21.4%増加したとしている。公衆衛生的なアプローチを取る目的は、死亡や負傷、精神衛生や感情的な影響によって測定される銃暴力のリスクの要因となる条件や状況を変えることによって、危害を予防し、軽減することとしている。
マーシー長官は25日の発表で、「銃器による暴力は、あまりにも多くの米国人の命を奪い、想像を絶する痛みと深い悲しみをもたらしてきた、緊急の公衆衛生上の危機だ」「われわれは、このような道を歩み続ける必要はなく、子供たちを米国で続く銃暴力の恐怖にさらす必要もない」とし、「銃器による暴力の流れを変えるには、国民の結束が必要だ」と発言した。銃暴力の防止に公衆衛生的なアプローチを活用することの重要性については6月6日、ホワイトハウス銃暴力防止室(OGVP)が全米の医療システムや病院を代表する幹部などを招き議論していた(2024年6月13日記事参照)。
バイデン政権による銃暴力削減の取り組みが続く一方で、米連邦最高裁は6月14日、銃に取り付けて連射を可能にする装置「バンプ・ストック」に対する規制を認めないとの判断を下した。バンプ・ストックは、2017年に起きたラスベガスのコンサートでの大量虐殺に使用された後、トランプ前政権下で使用が禁止された。最高裁が規制を覆したことを受け、民主党はバンプ・ストックの禁止法案を可決しようとしたが、ピート・リケッツ上院議員(ネブラスカ州、共和党)によって阻止された。
銃問題への対策は、若い世代の有権者が重要視している課題の1つとなっているほか(2024年2月2日記事参照)、米国の全米ライフル協会(NRA)が、2016、2020年に続き、今回もドナルド・トランプ前大統領の支持を表明するなど、大統領選挙の争点の1つにもなっている(2024年5月28日記事参照)。
(吉田奈津絵)
(米国)
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