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アルゼンチンのミレイ政権と米国、中国、メルコスールとの関係、識者に聞く(アルゼンチン、米国、中国、メルコスール)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年2月6日 15時0分

米国で1月20日にトランプ政権が発足したことを受け、今後のアルゼンチンと米国、中国、メルコスールとの関係について、トルクァト・ディ・テラ大学のフアン・ネグリ教授に話を聞いた(インタビュー日:1月27日)。概要は次のとおり。

ハビエル・ミレイ大統領は、自身がドナルド・トランプ大統領やイタリアのジョルジャ・メローニ首相、エルサルバドルのナジブ・ブケレ大統領などと並ぶ、知的な右派の一員と考えているだろう。ミレイ氏はトランプ大統領と足並みをそろえるかたちで、パリ協定からの離脱、世界保健機関(WHO)からの脱退をほのめかしている(注)。足元にはOECDへの加盟協議、将来的にはメルコスールとEUの自由貿易協定(FTA)発効など、アルゼンチンが環境問題に向き合わざるを得なくなる動きがある中、環境問題の人為的要因に否定的なミレイ氏は、自身が右派の一員と言い立てることで、環境問題での孤立を避けようとしているのかもしれない。

ミレイ氏が掲げている米国とのFTA締結は、短期的には実現は難しいだろう。そもそも、保護主義的な米国はFTAを望んでいないため、ミレイ氏はこれをメルコスール改革の口実にしているだけかもしれない。トランプ政権のアルゼンチンへのメリットは、IMFとの債務再編交渉を同政権が後押ししてくれる可能性だが、通商関係にメリットはない。トランプ大統領は、中南米では移民問題を重視しており、その点でアルゼンチンとの関係にメリットはなく、イデオロギーを1つにするという点で、ミレイ氏を評価していると言えよう。

メルコスール諸国との関係について、短期的には、アルゼンチンがメルコスールを脱退することはないだろう。ミレイ氏は、メルコスールに加盟し続けることにメリットはなく、メルコスールの外にいた方が実現できることが多くあると考えているようだ。メルコスールからの脱退は起こり得るが、簡単ではない。メルコスールの経済統合は既に進んでおり、その慣性に簡単にはあらがえない。そして、世論はメルコスールを支持している。従って、今後起こり得る可能性が高いのは、加盟国が個別に通商交渉を行うメルコスールの柔軟化や対外共通関税の引き下げといったことだろう。

ミレイ氏は、政権運営の中で実践主義を学んだ。彼は、アルゼンチンは欧米側にいる必要があると考えているが、中国との関係が経済的に重要であることも理解している。ミレイ氏は米国を支持し、トランプ大統領との関係を優先するが、中国との関係を悪化させるようなことは言わないだろう。そして、宇宙分野、通信技術の分野などセンシティブな分野で中国との協力を避ける。アルゼンチンが「一帯一路」構想から離れることはないだろうが、その利益を享受することもない。

(注)アルゼンチン大統領府は2月5日にWHOからの脱退を表明した。

(西澤裕介)

(アルゼンチン、米国、中国、メルコスール)

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