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米議会諮問委、中国に対する対外投資規制の強化やPNTRの撤回を提言(米国、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月21日 14時55分

添付資料PDFファイル(237 KB)

米国連邦議会の諮問委員会「米中経済・安全保障調査委員会(USCC)」は11月19日、2024年の年次報告書を発表した。USCCは、民主・共和両党が指名した12人の委員で構成し、米中間の貿易・経済関係が米国の国家安全保障に及ぼす影響を調査し、立法・行政措置の提言を盛り込んだ年次報告書を議会に提出する(注1)。

年次報告書では、中国がグローバルなサプライチェーンに対する影響力を強め、他国の中国への依存度を高めるために、特に先端技術関連の産業に対する政府補助金を強化しているとして、非市場経済的慣行を問題視した。また、中国の過剰生産能力が貿易相手国からの反発を招いて、米国やEUなどによる関税の賦課(注2)につながっているとしたほか、中国経済に対する不透明感や地政学的な緊張の高まりも相まって対中投資が抑制され、メキシコやベトナムなどへのサプライチェーンの多元化が進展していると指摘した。中国が関税回避を目的に生産拠点を中国外に移転させる動きもあると指摘し、第三国からの輸入品の多くに依然として中国原産の部品や材料が使用されているとの課題も指摘した。

USCCはこうした米中経済・貿易関係を踏まえて、先端技術の流出防止を念頭とした輸出管理や対外投資規制の強化、関税回避防止を念頭とした非課税基準額(デミニミス)ルール(注3)の一部廃止など、特に重視する10項目の提言を示した(添付資料表参照)。対外投資規制では、中国を含む懸念国への国家安全保障または経済安全保障上の脅威となる分野の投資を規制するために、行政機関内に「対外投資局」を設置するよう議会が政権に指示することを提言した。

中国との恒久的正常貿易関係(PNTR)の撤回も盛り込んだ(注4)。米国の関税体系は、正常貿易関係(NTR)ステータスの国・地域向けの関税率(コラム1)と、特定国向けの関税率(コラム2)に分かれる。米国は中国が2001年にWTOに加盟したことに伴い、同国にPNTRのステータスを与えた。提言では、PNTRの撤回を中国の不公正貿易慣行に対処する米国のレバレッジとすることができると説明している。

(注1)2023年の年次報告書は2023年11月15日記事参照

(注2)例えば、中国製の電気自動車(EV)に関しては、米国は2024年9月に追加関税をこれまでの25%から100%に引き上げたほか(2024年9月17日記事参照)、カナダは10月に100%の追加関税を(2024年8月30日記事参照)、EUは10月に最大35.3%の補助金相殺関税(CVD)の賦課を開始した(2024年11月6日記事参照)。

(注3)輸入貨物の申告額が800ドル以下の場合、米国ではデミニミスルールの下、関税が賦課されず、また、原産地などの情報を申告せず、簡易的に輸入できる(2024年9月17日記事参照)。

(注4)共和党の2024年の政策綱領では、中国とのPNTRの撤回が盛り込まれている(2024年7月9日記事参照)。議会下院でも11月14日に、PNTR撤回法案が提出されている(2024年11月18日記事参照)。

(葛西泰介)

(米国、中国)

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