EU、対ロシア制裁第15弾を採択、中国企業も制裁対象に(EU、ロシア、中国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年12月18日 13時0分
EU理事会(閣僚理事会)は12月16日、第15弾となる対ロシア制裁パッケージを採択した(プレスリリース)。今回のパッケージは6月の第14弾(2024年6月26日記事参照)以来半年ぶりだが、既存の制裁迂回防止策の強化が中心となっており、目新しい措置は含まれていない。
まず、EUが日本を含むG7諸国などと実施するロシア産石油製品の上限価格規制(2023年2月9日記事参照)に関し、ロシアの「影の船団」と呼ばれる船舶が同規制を回避しているとして、新たに52隻をEU域内港湾へのアクセス禁止措置の対象に指定し、当該船舶へのサービス提供も禁止した。
また、ロシアの軍事産業を支援しているとして、32の企業を二重用途物品や先端技術の輸出制限の強化対象に新たに指定した。今回の指定には、ロシア企業以外にも、中国・香港の7社を筆頭に、セルビア、イラン、インド、アラブ首長国連邦(UAE)の企業が含まれる。
さらに、EU域内の資産凍結や、資産提供の禁止、入域禁止の対象に、54人と30団体を新たに指定した。指定先の多くは、航空部品、ドローン、電子機器などを製造するロシア軍事企業や、石油製品を輸送するロシア企業の役員などだ。制裁迂回やロシア軍事産業支援を行っているとして、今回初めて中国籍の1人と6団体、北朝鮮の国防相など2人についても指定した。
今回の制裁パッケージには、EU企業向けの保護措置も含まれる。まず、EU企業とロシア企業との間の係争に関し、両者の事前合意にかかわらず、ロシア国内の裁判所の管轄権のみを認めるとするロシア裁判所の判決の域内での承認と執行を禁止する。また、EU企業によるロシア事業からの円滑な撤退を支援する既存の特例措置の期限を延長する。
このほか、域内の中央証券保管振替機関(CSD)で凍結されているロシア中央銀行資産の活用(2024年5月27日記事参照)に対する訴訟や報復措置が増えていることから、新たな特例措置を設ける。この特例により、CSDは顧客への法的義務の履行に向け、加盟国当局に対し現金残高の凍結解除とその利用を求めることができる。また、CSDがロシア中銀に対し、契約上の利子以外の補償の支払責任を負わないことを明確にした。
(吉沼啓介)
(EU、ロシア、中国)
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