蘇州可米可酷食品、高級アイスクリーム生産工場を増設へ（中国）

アイスクリームの生産企業で、中国の江蘇省蘇州市に本社を置く蘇州可米可酷食品は6月14日、同市の蘇州国家ハイテク産業開発区でアイスクリーム産業本部の建設を開始した。同開発区の発表によると、床面積5万6,000平方メートルに工場や研究開発センターなど建設し、稼働後の年間生産額は10億元（約220億円、1元＝約22円）を見込む。2018年に設立した蘇州可米可酷食品は中国で初めてショ糖不使用のアイスクリームを生産するなど、健康を意識した低カロリー、低脂肪、低GI（注1）の高級アイスクリームの生産・販売を手がける。同社の2023年生産額は前年比で3割増と報じられている（「蘇州日報」6月15日）。

中国のアイスクリーム市場拡大を受け、日本企業も取り組みを強化する動きがみられる。明治は2024年3月に、上海市松江区に建設した新工場でアイスクリーム生産を開始したと発表。新工場の稼働により、中国でのアイスクリーム生産能力を2020年度比で約2倍に増強するとともに、販売地域を従来の華南エリア中心から中国全土に向けて拡大する方針だ。

ユーロモニターの市場情報データベース「Passport」によると、2023年の中国のアイスクリーム小売り販売額は72億4,420万ドルと、2013年比で22.0％増加した（注2）。他方で、同小売り販売額は米国（200億2,590万ドル）の36.2％の規模にとどまるのが現状だ。中国のアイスクリーム市場は従来、北京市、上海市、広東省などが主な消費地とされてきたが、今後は内陸地域の都市や農村部の発展も進む中で、市場拡大の潜在性は高いとされる。また、若者の消費志向の変化を受けた高級アイススクリーム人気の高まりや、レジャーの場面での消費拡大なども、市場拡大を後押しするとみられる。

（注1）Glycemic Index（グリセミック・インデックス）の略で、食後血糖値の上昇度を示す指標。食品ごとにGI値が設けられており、GI値が低い食品は血糖値の上昇を緩やかにするとされる。

（注2）各年の小売り販売額は、ユーロモニターが各年の為替レートにより、中国元からドルに換算した値。

（神野可奈子）

（中国）