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米シンクタンク、トランプ氏主張の関税への報復措置の影響を懸念(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月23日 11時55分

米国シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は10月21日、共和党大統領候補のドナルド・トランプ前大統領が主張する、全貿易相手国からの輸入品に対する一律10~20%の関税(ベースライン関税)や、中国からの輸入品に対する60%の追加関税など(注)が導入された場合の経済的影響に関する論考を掲載した。

論考では、米国小売業協会(NRF)のマシュー・シェイ会長兼最高経営責任者(CEO)の「トランプ氏が主張する関税が導入されれば、米国の平均的な世帯で年間4,000ドル以上の負担増となる可能性がある」との10月18日の記者会見でのコメントを引用しつつ、米国や国外の事業者が関税分のコストを負担することがあっても、それは一部分にすぎず、大部分は米国の消費者が負担することになると指摘した。また、こうした試算には貿易相手国の報復措置の影響は考慮されておらず、「実際には、トランプ氏の主張する関税の導入によって中間財の輸入価格が上昇することに加えて、報復措置によって完成品の輸入価格も上昇することになる」として、「米国の製造業者は2度にわたって打撃を受けることになる」との見解を示した。

米国シンクタンクのピーターソン国際経済研究所(PIIE)も21日、トランプ氏の主張する関税政策に関する論考を掲載した。論考では、トランプ氏が10月15日のブルームバーグの編集主幹との対談(2024年10月18日記事参照)で、関税を不公正な貿易慣行を取る国への対抗のみならず、同盟国との貿易の均衡化、米国で販売する目的で外国に投資する米国企業への制裁、米国の産業基盤の再構築、米国の税制基盤の修復、連邦債務の削減などの幅広い目的で使用すると主張したと振り返った。また、関税は交渉策略にすぎないとの受け止めもあるとしつつ、トランプ氏が税率や導入時期の詳細を明らかにしていないことを指摘し、「不確実な状態が続けば、企業の投資に明らかに悪影響を及ぼす」と懸念を示した。

なお、PIIEは2024年8月に、20%のベースライン関税と60%の対中追加関税が導入された場合の経済影響に関する試算結果を公表している。それによると、米国の一般的な世帯では、年間2,600ドル以上の負担増になる。また、PIIEとブルッキングス研究所は10月17日にベースライン関税が導入された場合の経済影響に関するウェビナーを開催し、消費者負担の増加に加えて、長期的なインフレや短期的なサプライチェーンの混乱を招く可能性を指摘した(2024年10月21日記事参照)。

(注)トランプ氏の主張を反映した共和党の政策綱領は、2024年8月9日付地域・分析レポート参照。また、トランプ氏の関税政策の法的根拠に関するCSISとケイトー研究所の論考は、2024年10月15日記事参照

(葛西泰介)

(米国)

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