ジェトロ主催の水素ミッション、製鉄所や開発中の港、経済特区を視察(南アフリカ共和国)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月6日 9時0分
ジェトロ主催の「南アフリカ水素ミッション」は2月14日に南アフリカ共和国ヨハネスブルクでの行程を終え(2024年2月28日記事参照)、16日はケープタウン近郊の研究機関などを訪問した(2024年2月29日記事参照)。最終日は鉄鋼大手アルセロール・ミタルの南ア子会社と2つの経済特区(SEZ)を訪れた。
アルセロール・ミタル南アフリカでは、サルダナ製鉄所を視察し、同社ゼネラルマネジャーのアルドリッチ・ルイス氏から直接還元鉄(DRI)生産プロジェクトについて説明を受けた。同製鉄所は2020年から生産停止中だが、水素や再生可能エネルギーを用いたDRI生産用プラントとして、フェーズ1で80万トン、フェーズ2で120万トンの生産を計画している。現時点では2027年後半に生産開始の予定で、DRIは国内消費だけでなく、欧州などへの輸出も想定している。
サルダナ製鉄所内(ジェトロ撮影)
2つの経済特区の1つ目のフリーポートサルダナ経済特区は、港湾内に位置する初のSEZで、石油・ガス、海運関連サービスを対象にした南ア唯一のセクター特化型SEZだ。もともと鉄鉱石輸出の拠点だったサルダナ港では、欧州向け水素輸出を見据えた整備が進められている。SEZ内ではアトランティアグリーン水素などによるグリーン水素製造プロジェクトが進行中だ。同プロジェクトで製造した水素は国内に供給するほか、特にロッテルダム港向けの輸出をターゲットにしており、同港渡しの水素価格を1キログラム当たり2.5~5ドルと見込む。商業生産の開始は2027年下半期を予定している。
西ケープ州サルダナ市のアンドレ・トゥルター市長によると、経済特区の開発に10億ランド(約79億円、1ランド=約7.9円)の投資を決定しており、港の最大水深は23メートルで大型船も入港可能だ。国内の水素オフテイカー(引き取り手、需要家)候補には、アルセロール・ミタル、MyCiTi bus(ケープ市内のバス)を挙げ、港湾内の設備にも水素の利用を検討中だ。
フリーポート・サルダナCEO代行のダグ・サウスゲート氏(左)、ジェトロの片岡進・副理事長(中央)、サルダナ市長のアンドレ・トゥルター氏(右)(ジェトロ撮影)
最後に訪問したアトランティス経済特区は、西ケープ州政府がグリーン経済のハブと位置づけており、グリーンテック製造業の支援を推進している。現在、既存のゾーンに加え、グリーンテクノロジー分野向けに、さらに3つのゾーンを開発中だ。
アトランティス経済特区の説明会場(ジェトロ撮影)
(堀内千浪)
(南アフリカ共和国)
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