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9月の米雇用統計、新規雇用者数が25万4,000人増と大幅増加、失業率は4.1%に低下(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月7日 13時55分

添付資料PDFファイル(197 KB)

米国労働省は10月4日、2024年9月の雇用統計を発表した。雇用者数の伸びが大幅に増加したほか、失業率も4.1%と予想外の低下をみせ、過去数カ月間みられた労働市場の減速感を払拭する内容となった。なお、調査期間の関係で、9月末に米国南東部を襲ったハリケーン「へリーン」の影響は9月の統計には反映されていない。

就業者数(前月差43万人増)、失業者数(同28万1,000人減)、労働参加率(62.7%、前月から変わらず)を踏まえた失業率は、前月(4.2%)から0.1ポイント低下して4.1%となった。市場予想は前月と同じ4.2%で、予想外の低下となった(添付資料表1、図1参照)。なお、非自発的にパートタイムを選択している者などを加えた広義の失業率(注)も7.7%と前月(7.9%)から低下している。

非農業部門の雇用者数の伸び(前月比)は25万4,000人増と3月以来の強い伸びとなった。市場予想(14万7,000人増) を大きく上回った。また、7月の数値は8万9,000人増から14万4,000人増に、8月の数値は14万2,000人増から15万9,000人増にそれぞれ大きく上方改定された。新規雇用者数増の内訳をみると、民間部門は22万3,000人増、政府部門は3万1,000人増。民間部門では財部門が2万1,000人増となったが、建設業(2万5,000人増)と製造業(7,000人減)で引き続き明暗が分かれている。製造業は、11月5日の米国大統領選挙に伴う政策変更リスクや自動車の販売減少などにより低迷しており(2024年10月4日記事参照)、こうした影響が雇用にも反映されているとみられる。サービス部門は20万2,000人増で、ヘルスケアを中心とした教育・医療(8万1,000人増)、娯楽・接客業(7万8,000人増)、会計年度末の需要を受けた対事業所サービス(1万7,000人増)などを中心に、幅広い業種で増加がみられた(添付資料表2、図2参照)。

平均時給は35.4ドル(前月35.2ドル)で、前月比0.4%増(前月0.5%増)、前年同月比4.0%増(前月3.9%増)と、いずれも市場予想(前月比0.3%増、前年同月比3.8%増)を上回る結果となった。業種別にみると、前年同月比では対事業所サービス(5.0%増)、製造業(5.0%増)などでの伸びが目立った。他方、商業・運輸・倉庫業など、伸びが低下している業種も複数みられ、賃金上昇が全般的なトレンドとなっているとまでは言い難い。

今回の結果は、過去数カ月間にみられた労働市場の減速トレンドを総じて払拭する内容となった。そのほかの統計でも、労働省が発表している求人統計(JOLT)で8月の求人数が804万人に増加(前月771万人)、9月第4週の新規失業保険給付者数が4週間平均で22万4,000人(前月23万人)に減少するなど、足下では労働市場に関する複数の指標で改善がみられている。こうした労働市場の底堅さを示す指標は、今後の連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ判断にも影響を及ぼしそうだ。

(注)失業者に加え、「現在は仕事を探していないが過去12カ月の間に求職活動を行った者」と「フルタイムを希望しているもののパートタイムで妥協している者」を合わせて算定した数値。

(加藤翔一)

(米国)

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