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米東海岸港湾スト終結、賃上げで暫定合意も自動化など課題残る(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月7日 11時45分

米国東海岸港湾の労使交渉を巡り、雇用者側の米国海運連合(USMX)と労働者側の国際港湾労働者協会(ILA)は10月3日、賃上げについて暫定合意に達したとする共同声明を発表した。東海岸とメキシコ湾岸で繰り広げられた大規模なストライキは直ちに終結するとした。

両者は、6年間で賃金を62%引き上げることで合意した(「NPR」10月3日)。USMXは、労働協約で50%近い賃上げを提示したが、ILA側は契約期間中に77%の賃上げを求めるとして拒否していた(2024年10月3日記事参照)。そのほか、現行の基本契約を2025年1月15日まで延長し、ターミナルでのコンテナ荷揚げの自動化に係る論点など未解決の問題について交渉のテーブルに戻ることで合意した。

ジョー・バイデン大統領は、同日の声明で「記録的な賃金と交渉プロセスの延長に関する本日の暫定合意は、強固な契約に向けた重要な進展を意味する」と歓迎した。また、カマラ・ハリス副大統領も「港湾労働者は、米国全土の地域社会へ必要不可欠な物資を届けるため懸命に働いていることに対する正当な分配を受けるに値する」と、ILA側への支持を表明した。

両者の間で難航していた労使交渉は、港湾労働者の賃上げやターミナルでの自動化などで対立し、9月30日までの既存契約期限までに新たな労働協約の締結合意に至らず、ILAの組合員は10月1日から大規模なストに突入した。ストの対象となる港湾は、全米の港湾荷役の半分近くを取り扱っており、サプライチェーンに深刻な影響を及ぼす懸念が高まっていた。

今回のストによる貨物の滞りを解消するには、時間がかかることが想定される。海洋航空輸送分析のゼネタのチーフアナリスト、ピーター・サンド氏は、ストの波及効果は今後数週間で世界のサプライチェーンに広がると指摘。同氏は「米国東海岸とメキシコ湾岸で遅延している数十隻の船は、極東への帰着も遅れるだろう。この事態は、2025年1月末の旧正月に備えるため極東から出荷される商品が増加する2024年末から2025年にまで影響を与える可能性がある」との見方を示した。

なお、今回の暫定合意が発効するには、ILAの組合員による承認が必要となる。組合員が反対票を投じれば、再びストに突入する可能性もある(CNN10月4日)。ILAは、港湾労働者の賃上げに加え、港湾ターミナルでの自動化技術の導入から雇用を守る保障や、コンテナ使用料を組合員に全額分配することも求めており、今後の交渉の行方が注目される。

(樫葉さくら)

(米国)

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