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米コロラド州でAI規制法可決、知事署名で成立すれば全米初の民間部門への規制に(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年5月17日 9時30分

米国コロラド州議会は5月8日、民間部門による人工知能(AI)の使用を規制するための法案(S.B.205)を可決、5月13日に最終文書を発表した。同法案はAIの潜在的なリスクから消費者を保護することを目的としたもので、4月10日に同州のロバート・ロドリゲス上院議員(民主党)によって提出されていた。今後、ジャレッド・ポリス知事(民主党)による署名がなされれば、民間部門における全米初の州単位のAI規制法となり、2026年2月に施行されることとなる。

同法案は、AIシステムの開発者および配備者に対して、教育機会や雇用機会、金融サービス、行政サービス、医療サービスなどの分野において、アルゴリズムに基づく決定によって消費者が差別的な取り扱いを受けることを避けるために合理的な注意を払うことを要求するもの。

具体的には、開発者は、システムの種類・管理方法に関するステートメントを作成するとともに、配備者が影響評価を行うために必要な情報を入手可能とすることなどが求められる。配備者は、システムのリスク管理方針・プログラムの実施や、影響評価を完了させることのほか、システムが消費者に関する決定を行った場合、特定事項を消費者に通知することや、システムに起因する消費者に関する不利な決定について、技術的に可能であれば、人的な審査を通じて不服を申し立てる機会を消費者に提供することが求められる。

また、開発者・配備者ともに、システムが差別を引き起こしたことが判明したなどの場合には、90日以内に司法長官に当該リスクを開示することとされている。なお、同法案には私的訴権に関する内容は含まれておらず、司法長官室によってのみ執行が可能とされているが、要求事項を順守していれば、開発者および配備者は合理的な注意を払ったという推定がなされることとなる。

法案を提出したロドリゲス氏は「この法案は偏見や差別に対する説明責任の枠組みを提供するもの」「今すぐ世界を変えようというものではない」と説明しているが、同法案が技術革新を阻害しかねず、コロラド州から企業が撤退する原因となり得るといった批判も根強い。同州のポリス知事の報道官、シェルビー・ウィーマン氏は「州レベルでの規制をどのように追求するかについては慎重に検討する必要がある」と述べているが、ポリス知事は法案に対する態度を表明していない(「コロラドサン」4月25日)。また、コロラド州議会は法案の条項を引き続き検討するためのワークグループを設置しており、仮に法案が成立したとしても、施行までに今回の法案の内容が修正される可能性も残る。

(堀永卓弘)

(米国)

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