2024年下期のICPTサーチャージ、わずかに引き下げ(マレーシア)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月2日 9時55分
マレーシアのエネルギー移行・水資源変革省(PETRA)は6月29日、2024年下期(7月1日~12月31日)にマレー半島に適用する電気料金を発表した(同省プレスリリース、マレー語のみ。国営電力テナガ・ナショナルのウェブサイトには7月1日付の英語解説あり)。燃料価格の変動に合わせて電気料金を調整するコスト消費者転嫁(ICPT)メカニズムに基づく産業・商業用サーチャージを、キロワット時(kWh)当たり16セン(0.16リンギ、約5.4円、1リンギ=約34円)とし、2024年上期(2023年12月27日記事参照)から1セン引き下げた。低電圧、特定農業、水道業者向けのICPTサーチャージは、同3.7センから2.7センへ引き下げる。PETRAは、電気料金の前提となる下期の政府補助額は21億9,200万リンギに上ると説明した。
発表を受け6月29日、マレーシア製造業者連盟(FMM)のソー・ティエンライ会頭は「石炭価格がこの1年間で下落したにもかかわらず、ICPTサーチャージの値下げは最小限にとどまっており、期待外れ」と前期同様に不満を表すコメントを出した。また同氏は、中電圧契約下の中小企業の適格基準を見直すことも政府に求めた。具体的には、水道業者に認められている低価格のサーチャージ(2024年下期は1kWh当たり2.7セン)を全ての中小零細企業にも適用すべきだと訴えた。
他方で、マレーシア中小企業協会(SAMENTA)は6月30日の声明で、今回のサーチャージ引き下げは、ディーゼル油補助金の合理化や賃金上昇による企業の負担増をある程度緩和するものだと評価した。ただ、SAMENTAのウィリアム・ング会長は、ICPTサーチャージの仕組みを、テナガ・ナショナルなどエネルギー生産者の生産性を考慮したより効率的なメカニズムに置き換えるべきとも注文を付けた。ICPTは、エネルギー生産者が世界的な燃料価格の変動に対処できるようにするための一時的な措置にすぎず、ましてや収益のためではないため、いずれは撤廃されるべきだとの見解を示した。
テナガ・ナショナルのウェブサイトでは、契約体系に応じた電気料金のシミュレーションができる(電気料金計算ツール)。
(吾郷伊都子)
(マレーシア)
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