EUの2024年の乗用車新車登録台数、前年からやや増加も、EV不振に懸念強まる(EU)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月24日 11時35分
欧州自動車工業会(ACEA)は1月21日、EUの2024年の乗用車の新車登録台数(暫定値)は前年比0.8%増の1,063万2,381台だったと発表した(プレスリリース、添付資料表1参照)。主要市場では、スペインは7.1%増だったが、ドイツ(1.0%減)、フランス(3.2%減)、イタリア(0.5%減)は前年を下回った。直近の2024年12月の新車登録台数は約91万台で、前年同月比5.1%増だった(添付資料図参照)。
主要メーカーグループ別の市場シェアは、フォルクスワーゲン(VW、26.7%)、ステランティス(16.4%)、ルノー(11.0%)の順だった(添付資料表2参照)。続いて、前年から順位を1つ上げたトヨタ(レクサスを含む、8.1%)が入り、登録台数は前年比17.5%増の約86万台に拡大した。日本メーカーではスズキ、三菱自動車、ホンダの登録台数も2桁の伸び率となった。
燃料タイプ別でみると、ガソリン車が全体の33.3%(前年比2.0ポイント減)と最多も、台数は前年比4.8%減の約354万台だった(添付資料表3参照)。続いてハイブリッド式電気自動車(HEV)は20.9%増の約329万台となり、全体の30.9%(5.1ポイント増)を占めた。HEVは9月以降4カ月連続でガソリン車を上回っており、2025年も販売動向が注目される。
バッテリー式電気自動車(BEV)は2023年と同様、燃料タイプ別の割合としては3位の13.6%(1.0ポイント減)で、前年比5.9%減の約145万台にとどまった。特に最大市場であるドイツでの大幅な減少(27.4%減の38万609台)が響いた。同国は僅差ではあるが、BEVの新車登録台数において欧州首位の座を英国(21.4%増の38万1,970台)に明け渡した。
プラグインハイブリッド車(PHEV)は前年比6.8%減の約76万台(全体の7.1%)だった。
EUでは2025年から、新車の二酸化炭素(CO2)排出基準がさらに厳しくなる。電気自動車(EV)販売が伸び悩む中、メーカーの基準未達に伴う罰金の負担や脱炭素化事業の停滞への懸念が増している(2024年12月18日記事参照)。ACEAのオラ・ケレニウス会長〔ドイツのメルセデス・ベンツ最高経営責任者(CEO)〕は1月16日、EUに対する書簡において、消費者向けの需要喚起策やCO2排出基準に係る規則の見直しなどを提言し、脱炭素化に向け「現実的な」政策を訴えた。あわせて競争力強化に資する規制枠組みと、互恵的な通商関係の構築も優先課題に挙げた(プレスリリース)。
(滝澤祥子)
(EU)
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