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欧州委委員長信任投票前の演説から見る、欧州議会各会派の立場の違い(EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月23日 10時40分

添付資料PDFファイル(342 KB)

欧州議会の各会派は7月18日、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長の再任を決める信任投票(注)を前に、各政党グループのスタンス、優先順位を発表した(添付資料表参照)。同委員長の不支持を明言したのは、左派・急進左派の欧州統一左派・北欧緑左派連盟(Left)グループと、いずれも極右の新会派である欧州の愛国者グループと主権国家の欧州(ESN)グループの3会派だった。

右派の欧州保守改革(ECR)グループは、支持に関して明言はしなかったが、EU市民は中道右派を支持しているとして、同党としての立場はこれまでと変わらないとした。環境政党の欧州緑の党・欧州自由同盟(Greens/EFA)グループは、グリーン・ディール政策を後戻りすることはできないとして、気候変動対策と産業競争力強化を同時に達成する必要性を強調。EUで多くの環境関連の雇用を創出しようと呼びかけた。フォン・デア・ライエン委員長の環境政策は十分ではないが、極右が台頭する中で欧州が弱体化することを防ぐため、親EU派として協力すると述べた。

中道会派の3会派のである中道右派の欧州人民党(EPP)グループ、中道左派の社会・民主主義進歩連盟(S&D)グループ、中道派の欧州刷新(Renew)グループは、団結の必要性と、産業の競争力強化、グリーン・ディール政策の推進に言及。S&Dは加えて、劣悪な住環境の改善(2024年6月6日記事参照)を目的とした、住居担当委員を欧州委内に新設することを支持した。

EU政策専門のシンクタンク、今後の実行フェーズ推進力に注視

EU政策を専門とするベルギーのシンクタンクの欧州政策センター(EPC)は7月19日に開催したセミナー(録画)で、フォン・デア・ライエン委員長の続投について、親EU・中道会派のEPP、S&D、Renewに加え、Greens/EFAからも支持を得られた結果だと分析した。また「フォン・デア・ライエン委員長が支持を得られなければ、対外的に誤った政治的メッセージを発信することになった」として、左派にも右派にも配慮した政策ガイドラインで支持を得たことを評価した。中道派の中でも異なる意見は存在するが、優先分野としては、産業競争力と防衛力の強化であることが明確となったとした。さらに、左派を意識した住環境整備のための専任委員の配置は興味深いと指摘する一方、実施主体は各加盟国という点に言及。気候変動対策など含めて、いかに実行に移すことができるか、一層注視されるなどと話した。

(注)フォン・デア・ライエン委員長は再任に必要な投票数を上回る賛成票を得て続投が決定した(2024年7月19日記事参照)。

(薮中愛子)

(EU)

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