「宇宙法」が閣議で承認、民間参入への認可など明確化(イタリア)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月2日 0時35分
イタリア政府は6月20日、宇宙・航空宇宙政策を担当するアドルフォ・ウルソ企業・メードインイタリー相の提案に基づき、イタリアで初となる宇宙および宇宙産業(スペースエコノミー)に関するガイドラインとなる法令を閣議で承認した(プレスリリース、イタリア語)。次の3つの内容を目的としている。
民間事業者に対し、宇宙へアクセスする際の適確な規則と認可制度を制定すること
宇宙産業への投資を促進し、国際競争力や研究開発を加速すること
宇宙・航空宇宙分野の中小企業やスタートアップに対し、公共調達など公的な契約手続きの簡素化を図ること
イタリアの領土で人工衛星などのミッションを行う海外事業者、および海外の領土でミッションを行うイタリアの事業者は、イタリア宇宙機関(ASI)の認可が必要となる。認可された事業者は、事故の際に最大で1億ユーロを上限に補償される保険への加入が義務付けられる。
さらに、この法令では、宇宙産業に関する国家計画の策定を視野に入れている。期間は少なくとも5年間で、この分野の需要を分析・評価し、公的資金および民間から必要な投資を算出する。基金も設立し、宇宙関連技術やインフラの商業利用に基づく、革新的な製品やサービスで市場の成長を促進することが盛り込まれている。
ASIのテオドーロ・バレンテ代表は、この法令がイタリアの宇宙産業にとって大きな一歩となるとした上で、「中小企業に対する支援策なども盛り込まれており、宇宙産業におけるメードインイタリーのリーダーシップをより強固なものにするだろう」とコメントした。
政府プレスリリースによると、イタリアは2022年12月、欧州宇宙機関(ESA)の閣僚級会合にて31億ユーロの拠出を発表。全加盟国が参加する必須プログラムに関してはドイツに次ぎ、フランスと同額で2位、加盟国が任意に選択するプログラムに関しては1位だった。さらに、政府は「再興・回復のための国家計画(PNRR)」からの基金を通じ、ASIに23億ユーロの予算を割り当てており、政府として2026年までに同分野に合計約73億ユーロの投資を予定している。
2024年10月には国際宇宙会議がミラノで開催される予定だ。
(平川容子)
(イタリア)
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