第2四半期GDP、前年同期比3.7%でプラス成長続く(ウクライナ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月3日 0時0分
ウクライナ国家統計局の発表(9月25日)によると、2024年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率は前年同期比3.7%だった。5期連続のプラス成長となり、前期比(季節調整済み)では0.2%だった。インフラ復旧のための建設需要の増大のほか、貨物海上輸送の安定的な運営が農業や冶金(やきん)、鉱業、鉄道輸送など各セクターの経済活動の回復を促した。
一方、ウクライナ国立銀行(NBU、中央銀行)が毎月実施するビジネス活動期待指数(BAEI)をみると、4月は基準値となる50を超える52.3だったが、5月、6月は、ロシアによる電力インフラへの攻撃激化や、燃料や物流コストの高騰による製造コストの増大、人材不足や今後の情勢の不透明性を背景に、それぞれ48.0、43.6となった。7月、8月は、電力不足への耐性やバックアップの確保などにより、それぞれ44.4、48.4だった。
国家統計局による第2、3四半期(7~9月)の景況感指数はそれぞれ109.7、105.2で、6期連続で基準値の100ポイントを超え、良好な景気を示している。
インフレ率は8月に前年同月比で7.5%と、同年4月以降上昇を続けている。NBUは、エネルギー、労働力、食品原材料コストの上昇や収穫量の減少、通貨フリブニャ安などを背景に、インフレ圧力が強まっていると分析する。
公定為替レートは7月22日に過去最安の1ドル=41.4912フリブニャを記録し、その後は41フリブニャ前後で推移している。NBUは外貨の構造的赤字や過度な相場変動を防ぐため、積極的な為替介入を続けている。5~7月は30億ドル前後の外貨売却を継続し、8月1日の外貨準備高は372億3,500万ドルまで減少したが、外貨売却額と外貨建て債務返済額を上回る国際パートナーからの多額の資金流入があり、9月1日時点で423億3,050万ドルに回復した(2024年9月26日記事参照)。
経済省は9月時点で2024年の実質GDP成長率を3.5%と予測する。6月28日に閣議決定された「2025~2027年のウクライナの経済社会発展の主要マクロ指標予測」では、2025~2027年のGDP成長率をそれぞれ2.7%、7.5%、6.2%、インフレ率は9.7%、9.9%、8.0%と予測している。
(柴田紗英)
(ウクライナ)
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