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米東海岸とメキシコ湾岸の港湾労組が会合、ストライキの可能性高まる(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月9日 11時55分

米国海運連合(USMX)と国際港湾労働者協会(ILA、注)は、交渉が難航している新たな労働協約の締結に向けて協議を行うため9月4~5日に会合を開いたが、賃金などの問題での対立から正式交渉に至らず、行き詰まりの状態となっている。

米国東海岸の労使交渉を巡っては、2024年6月から基本協約交渉を開始する予定だったが、ILA側は、組合員の労働力を使わずに、港湾ターミナルでトラックを処理するために自動化技術が導入されたことが現行の労働契約に違反していると主張し、労使交渉が中断していた(2024年8月13日記事参照)。今回の会合で交渉が進展することが期待されていたが、港湾労働者の賃上げや医療保険などを含む労働者の福利厚生に加え、ターミナルでの自動化技術の導入について両者が対立しており、交渉はなお予断を許さない状況だ。

USMX側は声明で、「現行協約が失効する前にILAと新たな労働協約に関する交渉を再開し、ストライキを回避する用意がある」と協議再開の意向を示している。一方、ILAのハロルド・ダゲット会長は、今回の会合でアラバマ州モバイル港や、フロリダ州ジャクソンビルやタンパの両都市を含む港湾での自動化技術などを巡る問題が解決しておらず、適正な契約を獲得できなければ、ILAは間違いなく10月1日に街頭に打って出ると警告し、ストライキが発生する懸念が高まっている(ロイター9月4日)。

実際にストライキが実施された場合、約4万5,000人の労働者と36カ所の港湾が影響を受ける可能性がある。現行契約が9月30日に満了を迎える中、小売業者や製造業者を代表する業界団体は、労使交渉の再開に向けて政府の関与を求めている。

全米小売業協会(NRF)のマシュー・シェイ会長兼最高経営責任者(CEO)も9月3日、「インフレ率が低下傾向にある今、ストライキやその他の混乱が発生すると、小売業者、消費者、経済に大きな影響を及ぼす可能性がある。政府は、両当事者が新たな契約交渉の場に戻るよう、あらゆる支援を提供する必要がある」と政府の支援の必要性を指摘した。

(注)USMXは米国東海岸およびメキシコ湾岸の港湾労働の雇用主を、ILAは同労働者を代表する。

(樫葉さくら)

(米国)

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