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中国訪問中のアンワル首相、トランプ氏勝利に祝意、国内の見方割れる(マレーシア、米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月8日 13時25分

添付資料PDFファイル(312 KB)

マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は11月6日、米国大統領選挙でのドナルド・トランプ前大統領の勝利を受け(2024年11月7日記事参照)、自身のSNSで祝意を表明した。アンワル首相は、11月4日から4日間の日程で、就任後3度目となる中国への訪問中で、投稿前日には第7回中国国際輸入博覧会(CIIE)に出席後、同国の李強首相と会談していた。

アンワル首相はまず、「トランプ氏の見事な政治的復活と大統領選挙での勝利を祝福する」と述べた上で、「最善への期待と協力の精神、そして共通の目的を持ってともに前進する準備ができている」「両国の相互利益促進のため、次期大統領と密接に協力したい」と呼びかけた。特に米国は、マレーシアに対する一大投資国であり、アジア大洋州地域での重要プレーヤーだと指摘した。マレーシア中央銀行によれば、2024年上半期時点の直接投資残高において米国はシンガポールと香港に次ぐ3位で、総額の10.7%を占める。2022年には14年ぶりに日本の残高を上回った(添付資料図1参照)。アンワル首相はまた、2025年のASEAN議長国として、米国による東南アジアとの関係再活性化を期待しつつ、「(米国の)影響力を用いて、パレスチナとウクライナでの壊滅的な暴力と人命損失を終焉(しゅうえん)させるよう求める」とくぎも刺した。

保護主義への懸念根強い一方、再びの恩恵に期待も

マレーシア国内の見方は割れている。特に中国との関係で、米国の強硬な貿易政策がマレーシアにも負の影響を及ぼし得ると、マレーシア科学技術大学のバルジョヤイ・バルダイ教授は述べた(11月7日付スター)。外交官のニザムディン・カシム氏やヘリオット・ワット大学マレーシア校のリー・J・ピーター准教授も、米国第一主義が外交に対する予測可能性を低下させ、「中国を最大の貿易相手とするマレーシアの立場を危うくする」「保護主義的政策が、電気電子やパーム油など主要産業の競争力を脅かす」といった懸念を示していた(11月4日付フォーカス・マレーシア、11月6日付NST)。また、ペトロナス工科大学のサミルル・アリフ・オスマン講師は「マレーシアのBRICSへの接近が米国による制裁をもたらす恐れがある」とも警告した(10月28日付NST)。

一方、マレーシアン・リザーブ編集者のルピンダー・シン氏が示すように(9月23日付同紙)、2017~2020年のトランプ政権時と同様、米中関係の緊張高まりがマレーシアの貿易投資機会を拡大させるとの見解もある。実際、マレーシアは、米中摩擦によるサプライチェーン多角化の恩恵を受けており(2022年12月7日付地域・分析レポート参照)、米国向け輸出シェアも2018年以降は拡大基調にある(添付資料図2参照)。投資銀行クナンガ・インベスト・バンク(11月1日付)マレーシア工業開発銀行(MIDF)研究所(11月6日付)も、(トランプ氏勝利で)短期的には不透明感が強まるとしつつ、中立国としての立場を強みに、チャイナプラスワン戦略から裨益(ひえき)する可能性を指摘している。

(吾郷伊都子、戴可炘)

(マレーシア、米国)

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