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EU農業の将来に関する戦略的対話、最終報告書を公表(EU)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年9月18日 1時0分

添付資料PDFファイル(160 KB)

欧州委員会は9月4日、EU農業の将来に関する戦略的対話(2024年1月31日記事参照)の最終報告書を公表した(プレスリリース)。2029年までの続投が決まった欧州委のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は2期目就任後100日以内に、新たな農業・食料ビジョンを策定すると公約している(2024年9月2日付地域・分析レポート参照)。最終報告書は社会的責任を果たし、収益性が高く、環境面で持続可能な農業・食料システムの実現に向け、新ビジョンのたたき台となるさまざまな施策を提言した。

戦略的対話は、フォン・デア・ライエン委員長の提案により2024年1月に始まった。農業・食品部門や学界、市民団体に所属する29人が生産者の公正な所得水準や、環境政策との両立、国際競争力強化などについて議論した。NGOの欧州環境ビューロー(EEB)が報告書を「生産者とNGO間の歴史的な合意」と評価するなど、環境対策などについて意見が異なる関係者が協同してEU農業・食品生産の将来像を示すものとなった。欧州委も協同作業の成果を強調し、対話を継続し、提言実現に意欲を示した。

最終報告書では、「バリューチェーンにおける生産者の地位向上」など14項目について提言した。例えば、小規模生産者などをより手厚く支援するなど共通農業政策(CAP)を改革することや、より持続可能で競争力のある農業・食料システムへの移行財源として、CAPとは別の新しい基金の創設などがある。また、温室効果ガス(GHG)排出量の測定方法や農業部門別の目標設定のほか、EUの食品ラベル関連法令の包括的な見直しや、関係者間の対話継続の場となる「欧州農業・食品委員会(仮称)」設立なども提言した(添付資料参照)。

今後、欧州委が新農業・食料ビジョンや2028年以降の次期CAPを策定するに当たり、最終報告書の提言がどのように反映されるのか注目される。

(滝澤祥子)

(EU)

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