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中国発AIディープシークが米AI産業の「警鐘」に(米国、中国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月31日 16時0分

中国発スタートアップの人工知能(AI)企業ディープシーク(注)は1月20日、「ディープシーク-R1」をリリースした。同リリースに対し、シリコンバレーのベンチャーキャピタル(VC)大手アンドリーセン・ホロウィッツで創業者兼最高経営責任者(CEO)を務めるマーク・アンドリーセン氏は24日、同アプリが「今まで見た中で最も驚嘆に値する印象的なものの1つだ。また、オープンソースのため、世界に貢献することになる」とX(旧Twitter)に投稿した。また、メタの基礎AI研究部門(FAIR)の最高AIサイエンティストのヤン・ルカン氏、マイクロソフトのサティア・ナデラ会長兼CEOらもSNSで話題にした。

多くのメディアは、ディープシークが600万ドル以下の費用でチャットGPTと同等の性能を提供できる推論モデルの発表について報じ、米国の高性能チップの輸出規制が続く中、米大手AI企業にとって潜在的な脅威になる可能性があるとして、議論を巻き起こした。27日には、2025年に入ってAIへの大規模投資を発表した大手テック企業や半導体企業の株価の一時的な下落を招いた。

オープンAIのサム・アルトマンCEOは同日夜、Xで同モデルを評価し、特にその価格で実現できる成果は注目に値すると述べた。また、オープンAIはさらに優れたモデルを提供するつもりで、新たな競争相手の出現を歓迎するとした上で、「ミッションを成功させるために、今まで以上の計算能力が重要だと信じる。世界のAI需要は大きく高まり、汎用(はんよう)人工知能(AGI)を皆さんに届けることを楽しみにしている」と述べた。

一方、ドナルド・トランプ大統領はフロリダ州で開催された下院共和党会議で、ディープシークの技術は米国企業への「警鐘」で良い刺激となると評価し、米国企業も同様に費用を抑えた開発を進めることができると語った。こうした見方を踏まえ、翌28日はハイテク株の一時的回復が見られた。

ディープシークは2024年12月下旬に「オープン」なAIモデルとして「ディープシークV3」をリリースした際、同モデルが自らを「チャットGPT」だと主張していることが注目された。業界誌「テッククランチ」がキングスカレッジ・ロンドンのマイク・クック研究員にインタビューしたところ、「明らかにどこかの時点でチャットGPTの応答を学習していると考えられるが、それがいつなのかは分かっていないし、偶然起こった可能性もある」と述べた(「テッククランチ」12月27日)。ジェトロがシリコンバレーのAIエンジニア数人にヒアリングを行ったところ、同様の反応が聞かれた。

ディープシークの登場はAI分野で競争を激化させると同時に、技術革新を加速させる契機となることが予想される(2025年1月31日記事参照)。

(注)2023年にAIを活用するヘッジファンド「ハイフライヤー」の元責任者のリャン・ウェンフェン氏によって創立された。

(松井美樹)

(米国、中国)

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