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バイデン米政権、TSMCアリゾナ工場に最大66億ドルの助成を確定(米国、台湾)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年11月18日 14時50分

米国商務省は11月15日、半導体ファウンドリー(受託製造)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の米国子会社TSMCアリゾナに対する、CHIPSおよび科学法(CHIPSプラス法)に基づく最大66億ドルの助成が確定したと発表した。

米国のCHIPSプラス法は、米国内の半導体産業の振興を目的に、半導体製造施設などの建設や拡張などを行う企業に対して、米国政府が最大390億ドルの助成と25%の投資税額控除を行うことなどを規定している。商務省は同法に基づき、これまで、TSMCアリゾナ(2024年4月9日記事参照)を含む20以上の企業と助成金の提供に関する予備的覚書(PMT)を締結していた(注1)。PMTの締結後、商務省は助成対象プロジェクトや申請書に含まれる情報について、包括的なデューディリジェンス(DD)を行う。今回、TSMCアリゾナに対する必要なDDが完了したとことにより、助成金の提供が確定した(注2)。

助成対象となるのは、アリゾナ州フェニックスのTSMCの3つの先端半導体製造施設の新設プロジェクトだ。TSMCによると、第1工場では4ナノメートル(nm)プロセスの半導体を2025年前半に、第2工場では3nmプロセスおよび2nmプロセスの半導体を2028年中に、第3工場では2nmまたはそれ以上の最先端プロセスを用いた半導体を2030年末までに製造開始する予定だ。TSMCの総投資額は650億ドル以上で、約6,000人の直接雇用のほか、2万人以上の建設関連雇用、数万人のサプライヤーを通じた間接雇用の創出が見込まれている。

米国のジョー・バイデン大統領も同日に声明を発表し、「米国史上最大のグリーンフィールドプロジェクトへの外国直接投資だ」「超党派の合意で成立したCHIPSプラス法の施行における最も重要なマイルストーンの1つだ」と評価した。また、助成対象プロジェクト3施設のうち1施設が2025年初めに操業開始の見込みだと説明した上で、「数十年ぶりに米国の製造施設が、スマートフォンや自動運転車両、人工知能(AI)を動かすデータセンターなどの最先端技術に使用される先端半導体を製造する」と述べ、その重要性を強調した。

(注1)直近では11月8日に、露光装置部品メーカーのコーニングおよびパワー半導体メーカーのパワーエックスとのPMT締結が発表されている(2024年11月11日記事参照)。なお、助成プロジェクトの募集は既に締め切られている(2024年4月26日記事参照)。

(注2)助成が確定したのは、米国半導体ファウンドリーのポーラーセミコンダクター(2024年9月5日記事参照)に続いて2件目。

(葛西泰介)

(米国、台湾)

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