最低賃金(日額)を全国一律400バーツに引き上げる計画を閣議承認(タイ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年6月7日 0時10分
タイ政府は5月14日、労働者の最低賃金(日額)を全国で400バーツ(約1,720円、1バーツ=約4.3円)に引き上げる計画を閣議承認した。ピパット・ラチャキットプラカーン労働相が同計画を提案し、9月から10月にかけて新たな最低賃金が適用されることを見込んでいる。実現すれば、2024年に入って3回目の引き上げとなる。
しかし、経済協議会や団体の強い反対の声もある。タイ商業・工業・銀行合同常設委員会(JSCCIB)は全国一律400バーツへの引き上げに反対し、GDP成長率やインフレ率、雇用者の財務状況など、各県の経済データに基づいた新料金を検討するよう求めた。また、雇用者と従業員の技能の維持・向上を奨励するために賃金を技能給ベースで支払うことも希望した(タイ商工会議所5月8日)。
地元紙「ネーション」(5月15日)によると、タイ経営者連盟(ECOT)は通貨バーツの変動やインフレ、エネルギー価格、国際貿易障壁などで、タイ経済が脆弱(ぜいじゃく)な段階にあるため、最低賃金引き上げに良い時期ではないとして、労働省と政府、使用者、労働者の三者賃金委員会に賃上げ案に反対する書簡を提出した。
他方、ラチャキットプラカーン労働相は「政府は10月1日の最低賃金引き上げ方針を撤回しない」と明言した上で、特に中小企業に対する賃上げの影響を注視しつつ、必要に応じて適切な支援策を提供するとした。また、商務省が製品価格への影響についての調査など、財務省は起業家を支援するための税制措置を担当すると述べた。
(ピンラウィー・シリサップ、藤田豊)
(タイ)
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