中国商務部、カナダの対中EV追加関税などに対する反差別調査実施を発表(中国、カナダ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月7日 16時0分
中国商務部は9月26日、カナダが中国に対して実施している関連調査措置について反差別調査を行う旨の公告を発表した。調査は同日から開始されており、期間は通常3カ月で特殊な事情があれば延長可能としている。
公告では、カナダが中国製の電気自動車(EV)、鉄鋼・アルミニウム製品に対して実施しているか、または実施予定の追加関税賦課などの制限措置(2024年8月30日記事参照)が「対外貿易法」第7条に規定されている「貿易面で中国に対して行う差別的な禁止・制限もしくはその他類似の措置」に当たると指摘した(注1、2)。
調査の対象として、公告では、カナダが中国産輸入製品に対して実施しているか、または実施予定の次の措置を例として挙げている。
1. 中国製造のすべてのEVに対する100%の追加関税(10月1日から実施)
2. 中国から輸入する鉄鋼・アルミニウム製品に対する25%の追加関税(10月15日から実施)
3. カナダのクリーンエネルギー自動車に対する補助金受給の制限
4. 中国から輸入する電池・電池部品、太陽光発電関連製品、半導体・重要鉱物に関する追加関税(9月10日から30日間の意見募集実施後、取られる関連措置が対象)
調査は、対外貿易法第37条の規定に基づき、書面での質問や公聴会の開催、現地調査、委託調査などの方法で実施される。商務部は調査結果に基づき、調査報告を提出するか決定を下すものとされている。
また、今回調査対象となっている措置による影響を解消するため、カナダ政府は公告の公布日から30日以内に中国との政府間協議を行う申請を商務部に提出できるとされている。
上記調査のほか、中国は10月2日付の商務部報道官談話で、カナダをWTOに提訴したことを明らかにしている。
なお、中国商務部は9月9日から、カナダ産の菜種に対して職権によるアンチダンピング調査を実施しているが、同措置について、同日の商務部報道官談話では、アンチダンピング調査はWTOルールに沿った国内産業保護のための正当な貿易措置であり、カナダがWTOルールに反して実施している差別的措置とは本質的に異なると説明している。
(注1)対外貿易法第7条では、ある国・地域が中国に対して貿易面で差別的な禁止・制限もしくはその他類似の措置を取った場合、中国は実情に応じて当該国・地域に対して相応の措置を取ることができると規定している。
(注2)対外貿易法は9月13日、改正案が発表され、10月12日までの期間で意見募集が実施されている。
(小宮昇平)
(中国、カナダ)
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