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トランプ米大統領、OECDの国際課税ルールからの離脱を発表(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2025年1月24日 11時15分

米国のドナルド・トランプ大統領は1月20日、OECDの国際課税ルールからの離脱を指示する大統領覚書を発表した。

国際課税ルールに関しては、多国籍企業による税源浸食と利益移転(BEPS、注)の防止に向けて、OECDやG20を中心として日本や米国を含む約140カ国・地域が参加する「BEPS包摂的枠組み」を通じた交渉の結果、2021年10月に、(1)多国籍企業が市場国に物理的拠点を持たずとも、一定の売り上げがある場合は市場国に課税権を配分すること、(2)一定規模以上の多国籍企業を対象に、国・地域ごとに最低税率(15%)以上の課税を確保すること(グローバル・ミニマム課税)、の2点で合意している(2021年10月14日記事参照)。

今回の大統領覚書では、OECDの国際課税ルールについて、「米国の所得に対する域外管轄権を認めるもので、米国の税制の制定能力を制限するものだ」としたほか、15%未満の法人税率しか課税しない国・地域があれば、残りの課税分は(例えば当該企業が本拠地を置く)別の国・地域が課税できるグローバル・ミニマム課税について、「報復的な国際課税」と問題視している。その上で、財務長官とOECD常駐代表に対して、OECDの国際課税ルールが米国で効力を持たないことをOECDに通知するよう指示した。併せて、財務長官に対しては、米国企業に不均衡な影響を与える課税ルールを設けている、設ける可能性がある国・地域を調査し、米国が講じ得る「保護措置(protective measure)」の選択肢のリストを同大統領令から60日以内に作成するよう命じた。

米国シンクタンクのタックスファウンデーションによると、米国では多国籍企業の所得に対する国際課税として、2017年に成立した税制改革法(TCJA、いわゆるトランプ減税)のグローバル無形資産低率課税所得(GILTI)の規定に基づき、10.5%の最低税率が設定されている。

(注)Base Erosion and Profit Shiftingの略。ビジネスモデルのグローバル化やデジタル化に伴い、多国籍企業が当該企業の活動実態と各国・地域の税制や国際課税ルールとのずれを利用し、低課税の国・地域に所得を移転することで、各国・地域の税源が侵食されることなどを指す。

(葛西泰介)

(米国)

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