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ラオスで第1回カーボン・マーケット・フォーラムを開催(ラオス)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年10月3日 0時50分

ラオスの首都ビエンチャンにおいて9月26日、天然資源環境省やグローバル・グリーン成長研究所(GGGI)などが主催して「第1回カーボン・マーケット・フォーラム」が開催された。国際機関や政府機関のほかにも、REDD+事業(注1)を行う企業や発電業者ら150人が参加した。

同フォーラムでは、天然資源環境省気候変動対策局より、カーボンクレジット政策とカーボンクレジットに関する政府令のドラフトの進捗報告が行われた。森林カーボンは既に農林大臣合意として発布済みだが(2024年9月30日記事参照)、本政府令草案は、あらゆるセクターのコンプライアンスマーケットとボランタリーマーケット(注2)の両方をカバーする包括的なカーボンクレジットに関する初の法律と位置付けられる。作成中のドラフトは現在ほぼ完成しており、10月の閣議に提出された後に承認を受ける見通しと説明された。

これまで特に議論となっていた、ラオス国内における2国間や多国間での国際協力事業で創出したカーボンクレジットの国際間移転の割合制限について、当初は少なくとも20%をラオスが保持する案が挙がっていたが、最終ドラフトでは10%に引き下げられたという。また、民間企業による投資案件の割合制限は特に規定は定めず、政府との契約に従うとのこと。本政府令の発布後に、カーボンクレジットに関するマスタープランや、パリ協定6条に関するガイドライン、カーボンクレジットのプロジェクト登録に関するガイドラインの準備も進めているそうだ。

天然資源環境省計画財務局からは、気候ファイナンスについての最新状況が共有された。1994年から参加する地球環境ファシリティー(Global Environment Facility:GEF)のGEF-8(注3)では森林景観や生物多様性、重要な生態系への脅威の軽減などへ資金が供与されているほかに、同基金はそれぞれ2,000万ドルを上限として後発開発途上国基金(LDCF)(注4)と、特別気候変動基金(SCCF)(注5)が用意されていると述べた。

また、カーボンクレジットに取り組む企業からの紹介も行われた。ラオス南部の33万ヘクタール(第1フェーズは9万ヘクタール)でREDD+事業を進めるアバ・トランスポート・トレーディングは、現在MOU(覚書)を締結して可能性調査を実施しており、プロジェクト期間中に900万トンの二酸化炭素(CO2)の排出削減と蓄積が期待されると説明した。廃棄物処理を行うビエンチャン・ウェイスト・マネージメントは、1日600トンの廃棄物から廃棄物固形燃料(RDF)生産を行い、2020~2030年に年間4万トンのCO2削減に貢献する計画とした。

写真 第1回カーボン・マーケット・フォーラムの様子(ジェトロ撮影)

第1回カーボン・マーケット・フォーラムの様子(ジェトロ撮影)

(注1)森林減少・劣化防止による排出量削減を達成した途上国政府に対して、支払いを行うフレームワークのこと。

(注2)「コンプライアンスマーケット」は国や国連機関などが主導・認証して規制に基づいて取引される市場で、「ボランタリーマーケット」は民間などが主導・認証して当事者同士で売買が行われる市場のこと。

(注3)GEF-8とは、GEFの第8次増資期間(2022年7月~2026年6月)を指す。

(注4)Least Developed Countries Fundの略で、すべての後発開発国を対象に、気候変動枠組み条約とパリ協定の資金メカニズムとして気候変動の影響への適応策への資金提供を行う基金のこと。農業、食糧安保、健康、水、自然ベースのソリューション、早期警戒・気候変動情報システムを優先項目とする。

(注5)Special Climate Change Fundの略で、気候変動枠組み条約とパリ協定の資金メカニズムの一環で途上国における適応作への技術移転を支援する基金のこと。技術移転やイノベーション、民間セクターの参画を優先項目とする。現在ラオスでは、プロジェクトはなく、起案段階にある。

(山田健一郎)

(ラオス)

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