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ミレイ大統領と18の州知事が「5月協定」に署名(アルゼンチン)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年7月11日 11時0分

アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領と18の自治市・州の首長は7月9日、トゥクマン州の州都サン・ミゲル・デ・トゥクマンに集まり、10カ条からなる5月協定に署名した。

同協定は、国家再建に必要な取り組みについての連邦政府と州知事との基本合意となる。ミレイ大統領は2024年3月1日、通常国会の開始に先立ち、革命記念日である5月25日に本協定を締結することを州知事に呼び掛けていたが、その条件としていた「アルゼンチン人の自由のための基盤および出発点に関する法律」(通称:オムニバス法または基盤法、2024年7月2日記事参照)の成立が6月28日にずれ込んだため、独立記念日である7月9日に署名されるに至った。

今回ミレイ大統領の呼びかけに応じたのは、ブエノスアイレス自治市、トゥクマン州、カタマルカ州、チャコ州、チュブット州、コルドバ州、コリエンテス州、エントレ・リオス州、フフイ州、メンドサ州、ミシオネス州、ネウケン州、リオ・ネグロ州、サルタ州、サン・フアン州、サン・ルイス州、サンタ・フェ州、サンティアゴ・デル・エステロ州の18の首長だった。マウリシオ・マクリ政権下の与党連合「変革のために共に」系だけでなく、複数の正義党(いわゆるペロン党)系の州知事も署名に加わった。

一方、ブエノスアイレス州、ラ・パンパ州、フォルモサ州、ラ・リオハ州、ティエラ・デル・フエゴ州、サンタ・クルス州の6州の知事は式典に参加せず、協定にも署名しなかった。サンタ・クルス州を除く5州知事は、正義党の中でもクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル(CFK)前副大統領に近く、現政権と政治的に距離を置く州だ。サンタ・クルス州は、未曽有の低温と大雪に見舞われた状況下で、参加を見合わせたとされている。

5月協定の10カ条は次のとおり。

1. 私有財産の不可侵
2. 財政収支均衡の常態化
3. 公共支出を歴史的水準、すなわちGDPの25%程度まで削減
4. 有用かつ近代的な就学前教育、初等、中等教育による識字率100%、中途退学者ゼロの実現
5. 税負担を軽減し、国民の手間を省き、貿易を促進する税制改革
6. 地方を苦しめる現在の強要主義的な連邦税の分配制度を再検討
7. 天然資源の開発を進めるための州のコミットメント
8. 正規労働を促進する近代的労働改革
9. 年金制度に持続可能性を与え、掛け金を納付した人々を尊重する改革
10. アルゼンチンが再び世界市場の主役となるための国際貿易への開放

協定には、行政府、上下院、州政府、企業部門、労働組合の代表者からなる5月評議会を設立し、10カ条の項目について法案をまとめ、国会に提出する役割を担わせることも盛り込まれた。

ミレイ大統領は、政界や経済界、労働組合のリーダーを式典に招待していた。その中には前政権のアルベルト・フェルナンデス前大統領やCFK前副大統領も含まれていたが、両氏や政府と対立する労働組合関係者は出席しなかったほか、上下院議員、最高裁判所判事らも欠席が目立った、と報じられている。それでも、ミレイ政権が、自党所属の州知事を1人も持たない中、18もの自治市・州の首長が署名に応じたことは、前向きに捉えられている。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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