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相続税改正における暮らしへの影響

JIJICO / 2014年9月8日 10時0分

相続税改正における暮らしへの影響

相続税改正における暮らしへの影響

都心部では、3人に1人は相続税が発生するという試算も

平成27年1月1日以降、相続税法が大きく変わります。最大の変更点は「基礎控除額の引き下げ」。基礎控除額とは「この金額まで非課税とします」というラインです。

「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」まで認められていた基礎控除は、平成27年以降「3,000万円+600万円×法定相続人の数」と6割まで引き下げられます。例えば法定相続人が5人の家族なら、平成26年末まで1億円あった基礎控除は6,000万円に。

この引き下げにより、今まで100人に4人しか発生しなかった相続税が100人に6人発生するようになります。ただし、この数字は全国平均で、土地の値段が高い都心部では、3人に1人は相続税が発生するという試算もあるようです。

生前に遺産を次世代に移転できれば相続税は節税できる。その方法

今まで発生しなかった相続税が発生するなら何とか節税したいというのが人情というもの。相続税は遺産に対して課税する税金ですので、生前に遺産を次世代に移転できれば相続税は節税できます。しかし、生前にどんどん贈与して相続税を節税すれば良いのかというとそんなに単純な話ではありません。贈与には贈与税がかかるため、かしこく贈与する必要があるのです。

まず、利用できるのが贈与税の基礎控除。贈与税は1人につき110万円まで非課税となります。ただし、形だけの贈与は贈与と認められず結局のところ相続財産扱いになることも多いので、注意が必要です。贈与は実際に渡すことが重要。具体的には「動きのある通帳に振り込む」「贈与契約書に自署押印する」などが有効といえます。

次に、教育資金の一括贈与。子や孫への教育資金に関しては、最大で1,500万円まで無税で贈与できます。教育資金はもともと非課税ですが、相続まで時間のないときはこの制度を利用すれば大幅に相続税が節税できます。使い方はいたって簡単。金融機関などの窓口で子や孫名義の通帳を作って教育資金を振込むだけ。申告等は金融機関が代行してくれます。平成27年末までの特例ですが、大人気のため、すでに延長を求める声が挙がっています。

また、利用できる非課税制度は、生前の贈与だけではありません。相続の際においても生命保険金等は500万円×法定相続人の数まで非課税となっています。法定相続人が4人なら2,000万円まで非課税となります。同じ2,000万円でも預金で遺せば相続税の課税対象となるうえ、相続人全員の分割協議が整うまで預金口座が凍結されてしまいます。しかし、生命保険金なら相続税はかからず、通常請求から2~3週間程度で相続人の口座に振り込まれるため、面倒な手続きは不要。相続税が発生するなら、最低非課税分くらいは生命保険に加入しておいた方が良いでしょう。

生前贈与が進めば、経済効果も期待できる

これらの非課税制度を利用して上手に資産を次世代に移転すれば、税制改正後も相続税を払わなくてすむ人も多いはずです。特に生前贈与は、お金の必要な世代への資金移転により経済効果も期待できます。例えば、教育資金の一括贈与、教育費のかさむ世代が親から資金を援助してもらうことで、生活に余裕ができ、旅行でもしようかという話になるかもしれません。

相続税の改正というと遠い感じがしますが、実は私たちの暮らしに影響を与える身近な問題なのです。

(松岡 敏行/税理士)

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