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「千葉ットマン」が抱える法的リスク

JIJICO / 2014年9月13日 10時0分

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「千葉ットマン」が抱える法的リスク

イベントに参加したりすれば、著作権侵害の可能性が生じる

「千葉ットマン」。千葉県内を3輪バイクで疾走する「バットマン」のコスプレをした人物です。コウモリ耳で口元の現れたマスク、黒く分厚い胸、そして黒マント。これは明らかに「バットマン」のコピーです。こうしたコスプレは、法的に問題ないのでしょうか?

端的に言えば、例えば、家の中で人知れず、「バットマン」の衣装をつくって「バットマン」の格好をすることには何の問題もありません。この場合でも、他人の著作物の複製行為には当たるわけですが、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること」は原則的には私的使用として認められているからです(著作権法30条)。

また、知人のパーティーに自分でつくった「バットマン」の衣装で現れる程度であれば、この私的使用の範囲内でしょう。ただ、それ以上のこと、例えば、イベントに参加したりすれば、営利・非営利に関わらず、著作権侵害の可能性が生じます。

実際は、日本では著作権侵害が親告罪のため、著作権者が訴えない限り問題にはなりません。「千葉ットマン」でもアニメキャラのコスプレでも、多くの場合、著作権者は黙認しているようです。

メディアで注目されるほど、著作権等の点でリスキーに

もっとも、コスプレは著作権法だけの問題ではありません。商標権侵害の恐れもあります。例えば、「バットマン」は、デイーシー・コミツクス社が、おもちゃ、仮装用衣服等、かなり広い範囲にわたって商標登録をしています。文字だけでなく絵柄も商標登録されています。

したがって、例えば、「千葉ットマン」が自分のミニチュアおもちゃと称して、「千葉ットマン人形」を販売すれば、これはデイーシー・コミツクス社の「バットマン」商標権の侵害になる可能性がかなり高いでしょう。「バットマン」がサービスマークとしても登録されているかにもよりますが、「千葉ットマン」がその風体でピザの配達等をしても問題は生じます。現実には、「千葉ットマン」はただ公道を走っているだけで、モノも売っていなければサービスもしていないようです。したがって、現状にとどまる限り、「千葉ットマン」の行動がデイーシー・コミツクス社の「バットマン」商標権の侵害となることはありません。

ただ、メディアで注目されればされるほど、著作権等の点でリスキーになってきます。「千葉ットマン」の中の人は良い人のようですし、あまり騒がず暖かく見守ってあげるのが最も望ましい態度ではないでしょうか。

(小澤 信彦/弁理士)

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