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スポーツ強い日本へ。アスリート育成に求められる支援策

JIJICO / 2014年9月29日 15時0分

スポーツ強い日本へ。アスリート育成に求められる支援策

スポーツ強い日本へ。アスリート育成に求められる支援策

「タレント発掘事業」を東京五輪への強化事業として国が集約

スポーツの強い国として、すぐに頭に浮かぶのは、アメリカやロシアではないかと思いますが、実際はどうなのでしょう。「Greatest Sporting Nation」というサイトでスポーツ大国のランキングが毎月更新されていますが、数値化しても、やはりスポーツ先進国のアメリカ・ロシア・ドイツは強いようです。

では、日本はどうでしょう?昨年の9月にオリンピック・パラリンピックの東京開催が決まりましたが、この機会を逃せば、しばらくはスポーツ先進国の仲間入りが厳しくなるのではないかと感じています。6年という残り僅かな時間の中で、前述の強豪国に迫るような結果を残すためには、どのような対策が必要でしょうか?

私は、競技団体の垣根を取り払った「タレント発掘事業」が即効性もあり有効ではないかと考えています。福岡県で行われている「タレント発掘事業」の話を聞いたことがあるのですが、素晴らしい成果を残しているようです。また、私自身も小学校へ講師として呼ばれ、小学生に走り方を指導することがあるのですが、その中に「ダイヤの原石」がたくさんいることに驚かされます。

一人の人間を世界のトップで競えるような一流選手へ育て上げるためには10年以上の時間が必要とされていますが、それだけにじっくりと有望な選手が現れるのを待っていては間に合いません。現在は、各競技団体や各地方自治体でバラバラに行っている「タレント発掘事業」を東京オリンピックへの強化事業として国が集約して行えば、すぐに隠れていた「ダイヤの原石」が見つかり、6年間という長くはない時間でも、世界で通用する選手の育成が可能ではないかと考えるところです。

選手の育成から引退後までを見据えた長期的なサポート体制が必要

また、ジュニア選手の指導をしていて、将来への不安を抱えながら競技を行っている子が多いことも気になります。最近の子どもたちは、シビアに自分の能力と将来性を考え、大きな夢を抱かない傾向にあるようです。指導者から見て「能力が高い」と感じる選手であっても、トップに上り詰めるイメージができず、将来に不安を感じる選手は、普通の子と同じか、それ以上の時間を勉強に割いています。もちろん、学生は勉強をしなければならないですし、文武両道であることが望ましいことには異論ありません。

しかし、将来に不安を感じながら一流のアスリートを目指すのは、かなりの負担になります。進学や就職という不安を感じ、引退後のことまで考えながら本気でトップアスリートを目指す子はどの程度いるでしょうか?確かに、人生は一度限りの大きな賭けかもしれませんが、そこに賭けるような子どもは一握りではないかと思います。スポーツ先進国の仲間入りをするためには、選手が感じる将来への不安と負担を少しでも減らしてあげることが大切ではないかと思います。JOSに「アスナビ」という就職支援システムがありますが、学生時代の学業支援から総括的にサポートする体制が必要なのかもしれません。

行政は私利私欲を捨て「アスリートファースト」の精神で

長期的に考えれば、指導者のコーチングスキルを向上させることや、オリンピックへ向けて準備されるであろう施設がトップ選手だけのものではなく、広く一般にも開放されるようにするなど課題を挙げていけばきりがありません。環境の整備はもちろんですが、日本中から才能ある人材を発掘し、引退後までを見据えてサポートしていく体制を築くには国を挙げて取り組む必要があるでしょう。

スポーツ庁が新設されそうですが、省庁間の利権争いでスポーツ行政の一元化が進まないようでは実行不可能です。6年後に日本のスポーツ選手がオリンピックで活躍する姿を見るためには私利私欲を捨て、「アスリートファースト」の精神で取り組んでくれることを望みます。

(川口 博正/スポーツトレーナー)

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