急上昇の後で調整中の株価、今後の展開は?
JIJICO / 2014年10月14日 10時0分
急上昇の後で調整中の株価、今後の展開は?
9月以降の株価上昇・下落の主な要因
日経平均株価は、9月19日に1月8日以来超えることができなかった年初来高値を更新しました。9月25日の終値では16,374.14円となり、6年10ヶ月ぶりの高値を付けました。この上昇要因は次の通りです。
■良好な米国経済指標
■FRBが金融政策維持方針
■堅調な米国株
■急激な円安の進展
■スコットランド住民投票で独立反対派が勝利
一方で、9月26日以降の株価は下落トレンドです。現在も下落中で安値は15,259.95円と2ヶ月ぶりの低水準となっています(10月10日午前時点)。下落の要因は、次の通りです。
■市場予想を下回った米国経済指標(9月ISM製造業景況感指数)
■米国株の大幅下落
■円高への揺り戻し
■9月ユーロ圏製造業購買担当者景況感指数(PMI)の低迷
■IMFによる世界の実質成長率見通し引き下げ
■エボラ出血熱患者の米国での発見
■香港の民主化デモ
この他、利益確定売り、裁定取引、ヘッジファンドの持ち高調整、仕掛け等の要因が加わります。
今後を見通すには足元のセンチメント悪化は割り引く
上記の通り、様々な要因が株価を動かしますが、株価について3ヶ月~ 6ヶ月以上の予測をする場合、ベースラインは本質的な要因に絞って考えるしかないと思います。現在、本質的な要因とは、米国主導の世界景気、為替水準、米国の金融政策、日本企業の業績見通しと言えましょう。これら以外の要因、地政学的リスクやプレーヤーの短期の思惑により株価が動いても、相応の期間内に本質的な要因が示すラインに戻ってくると考えます。
欧州経済については、ECBの限界が見えてきた感もあり、デフレ懸念の後退しない弱い経済状況が続きそうです。一方、米国景気は、多くの経済指標が示す通り今後も世界をリードすることが期待されます。
為替は、日米景況感の差、真逆の金融政策から、現在の水準かそれを上回る円安で推移するでしょう。
株価は上昇予想もマーケットは荒れがち
日本企業の業績についての各種機関の予想は、2014年度が概ね8%前後の経常増益、2015年度は10~12%前後となっています。また、日銀短観の企業の2014年度下期想定為替レートは、まだ100.63円/ドルにすぎません。今後、為替要因だけで業績の上方修正が予想されるのは大きなプラス材料です。
予想の前提となる日本経済は、緩やかな景気回復です。強弱両面の経済指標が出ていますが、設備投資の上振れ傾向、先行指標である機械受注の好調、悪天候要因の消滅、冬のボーナス増加などから標準的なシナリオと考えます。
ちなみに、日経平均の PER は、日米のこれまでの相対感からして大きく切り上がることは考え難いでしょう。NISA枠の駆け込み消化、GPIFの資産配分割合の決定なども下支え程度と考えます。
結論として、株価は、年内から年始にかけ恐る恐る10%程度までの増益幅を織り込み17,000円程度まで上昇するというシナリオを標準とします。とは言え、世界経済の脆弱性や国内の消費の弱さなどから、内外ともにマーッケットのセンチメントは非常に弱まっています。12月に行われる消費増税の判断も波乱要因です。このため、地政学的リスクや短期筋の仕掛けなどにより、株価は上げ下げを繰り返し神経質な展開を見せるでしょう。当然、下振れリスクの可能性も高いと言えます。
(賀藤 浩徳/不動産投資アドバイザー)
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