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マナーで考えるマタニティーマーク論争

JIJICO / 2014年10月15日 10時0分

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マナーで考えるマタニティーマーク論争

賛否両論が巻き起こる「マタニティーマーク」

少子高齢化が進展する中、見た目では判別が難しい初期段階の妊産婦に対する理解を得ることを目的にし、妊産婦自身が身につける「マタニティーマーク」が話題になっています。賛否両論あってしかりでしょうが、マナーの視点で考えればマタニティーマークの存在を素直に歓迎したいものです。

マナーとは、思いやりの心を抱き、それを素敵に発揮すること。稲作を中心とした農耕文化で栄えた日本は、世界に誇れる平和な社会を築き、和の精神と他者に対する思いやりの心を大切に育んできました。そして、その思いやりの心をベースに「お互いさま社会」や「支えあいの社会」を形成し、貧しいながらも心豊かな生活を営んできたのです。人は一人では生きていけません。時として「困ったな、誰かに助けてほしい」「こんな仕組みがあったらいいのに」と思うこともあります。反面、多くの人が、目の前に困っている人がいれば「助けてあげなくては」と思うことでしょう。

妊婦としてサポートが必要であれば主体的に意思表示をすれば良い

一人ひとりが平和な社会の構成員であり、バラバラに暮らすのではなく、「困まった時はお互いさま」の気持ちで相互に支えあう社会こそ、「お互いさま社会」であり、「支えあいの社会」です。したがって、妊婦としてサポートが必要であれば主体的に意思表示をすれば良いし、助けを求められた人は手を差し伸べたら良いと思います。

サポートするポイントは、できるだけ範囲内でさりげなくすること。例えば、マタニティーマークを見つけたら「席を譲りましょうか?」と問いかけるのではなく、「どうぞ」と席を立ち、優しく声をかけてあげることです。マークを付けた人は、これを笑顔で「ありがとう」の言葉を添えて受けてください。

マタニティーマークが、思いやりのある国づくりの牽引役に

また、日本は「お福分け」「おもてなし」という美しい言葉が存在する国です。天に向かって唾を吐けば、その唾は自分にかかってきますが、人や社会に善意を施せば、その善意は自分に帰ってきます。今、日本は、便利で、物が豊かで、平和で、さらに文化水準も教育水準も非常に高く、世界屈指の恵まれた国になりました。しかし、「無縁社会」「孤独死」「無縁仏」「お一人さま」といって由々しきキーワードが氾濫しています。加えて、世界が経験したことの無い少子化と超高齢化が同時に進展しています。

このような社会に対し、私たちはどう立ち向かっていくべきなのでしょう?今、直面している深刻な問題は、すべて自分自身につながっていると認識し、マタニティーマークの論議を皮きりに、先人が築いた「お互いさま」「支えあい」「お福分け」「おもてなし」の精神を思い浮かべ、素敵に発揮するとともに、その精神を育むことができる制度や組織の在り方も同時に論議するべきだと思います。

最後に、世界中に笑いで安らぎを与えた喜劇王のチャプリンは、「世界中の人が少しずつマナーを発揮すれば、世界はもっと平和になるのに」との言葉を残しています。それを世界に向けて発信することこそ、オリンピックを控えた「礼節の国」日本の役割ではないでしょうか?その意味でも、マタニティーマークが、優しく、思いやりのある国づくりの牽引役になれば良いと思います。

(平松 幹夫/マナー講師)

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