軽薄な不倫ブームに警鐘、甚大な法的リスク
JIJICO / 2014年10月27日 12時0分
軽薄な不倫ブームに警鐘、甚大な法的リスク
テレビドラマの影響で「不倫ブーム」が到来?
複数のテレビドラマ等で「不倫」が描かれたことも影響してか、いわゆる「不倫ブーム」が到来していると巷で言われています。あくまでドラマは終わりのある物語ですから、その後に問題がありません。しかし、現実の生活で不倫を実行してしまうことには、さまざまなリスクをはらんでいます。
不倫とは、簡単に言えば、配偶者のある者の、あるいは配偶者のある者との浮気です。一方のみならず、双方に配偶者がいる場合も含みます。法的に「不貞行為」と呼ばれる行為は、配偶者のある者が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を持つことをいいます。
不倫は法律で保護された関係ではない。家庭を失うリスクが伴う
夫または妻が不貞行為をした場合、この行為は「離婚原因」になることが民法で定められています。ときめき、刺激、現実逃避、心の癒しなどを求めて「外の恋人」と密会を続ける一方、家庭生活では平然を装い、配偶者に見つからないようにしているつもりでも、普段からスマホや携帯電話を肌身離さず所持するようになったとか、おしゃれにより気を遣うようになったとか、外出が前より増えたといった変化が自然に現れます。
その変化を感じ取った配偶者が、こっそりと調査をした結果、恋人との密会がばれてしまったという場合、不倫をした配偶者は、離婚を求められると、裁判でも離婚が認められる可能性が高くなります。不倫は法律で保護された関係ではありませんから、家庭を失うリスクがあることを忘れないでください。
ダブル不倫では、不貞相手の配偶者に対する慰謝料支払い義務も
そして、夫婦は互いに貞操義務を負います。不倫で性的行為に及ぶと、その行為は、配偶者に対する貞操義務違反となり、法律上、不法行為が成立します。つまり、精神的苦痛を与えたことに対する慰謝料を請求される行為と評価されます。離婚とあわせ、慰謝料も求められることになるわけです。
さらに、不貞行為は、一人で行うものではなく、不貞相手とともに行う行為です。不貞相手が、交際相手を独身だと信じていた状況であればともかく、婚姻していることを知っていたならば、いわば共犯です。つまり、不貞の両当事者には、共同不法行為が成立します。したがって、配偶者が不貞行為をした場合の被害者となった配偶者は、自分の配偶者に対するだけでなく、不貞の相手に対しても慰謝料請求をすることができます。ただし、精神的苦痛に対する慰謝料は、加害者が二人いるから金額が倍になるというものではなく、二人の責任が合計でいくらかという考え方になります。
いわゆる「ダブル不倫」の場合には、双方の不貞をした配偶者は、自分の配偶者に対する慰謝料支払い義務のみならず、不貞相手の配偶者に対する慰謝料支払い義務も負うことになります。
家族も不貞相手も失い、ひとりぼっちになる最悪のシナリオも
以上に述べた法的リスクに加え、社会的・人間関係的に信用を喪失することもあります。職場にばれたら、素行不良あるいは職場の風紀を乱したなどとして、出世や、ひいては在籍そのものにも不利益が及ぶ恐れもあります。子どもがいれば、子どもをも傷つけ、親子関係に亀裂が生じる可能性もあるでしょう。
そして、家庭や職場でごたごたを抱えて疲弊すると、魅力が失われ、味方のはずであった不貞相手からも愛想をつかされてしまい、結局ひとりぼっちになるという最悪のシナリオもありえます。現実の不倫は、楽しみと代償が背中合わせなのです。
(柳原 桑子/弁護士)
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