現代社会に男女別学の意義はある?
JIJICO / 2014年11月28日 10時0分
現代社会に男女別学の意義はある?
女子大が入学願書を不受理。20代の男性が大学を訴え
公立の女子大に入学願書を受理されなかったとして、20代の男性が大学の対応を「不当な性差別であり違憲だ」とする訴えを起こしました。詳しい事情はわかりませんが、男性の代理人弁護士によると「かつて女子大には、教育機会を得にくかった女性を優遇するという側面があったが、その意味は失われている。国公立の女子大の存在が憲法上許される根拠はない」ということです。
男女平等を掲げる現代の日本社会において、女子大や男子校という男女別学の在り方に一石を投じた裁判となりそうです。改めて現代社会における男女別学という制度を考えてみた時、どのような社会的意義を持っていると言えるでしょうか。
過去に男女別学の果たした役割は、次第に終えつつある
「男女7歳にして席を同じうせず」という言葉がありますが、男女別学というのは、昔は日本のみならず欧米でも当然の考え方でした。しかし、道徳律や社会の制度というのは、常にその社会の影響を受けるものです。欧米では、フランス革命のシンボルとして「自由の女神」が描かれたり、産業革命によって労働力としての女性の存在が認められたりする中で、次第に男女共学へと移っていきます。また、日本においても戦前はやはり昔は男女別学が一般的でしたが、戦後のGHQの方針により男女共学が一般的になってきた経緯があります。
その過去を振り返ってみると、男女別学の果たした役割は次の3点であると思われます。
(1)地方に住む女子の進学率や社会的地位向上へつなげる公立教育機関としての役割
(2)いわゆる地方の名士や富裕層の男子・女子のための私立教育機関としての役割
(3)宗教(キリスト教・仏教等)の理念に基づいた教育機関としての役割
確かに過去においてそれぞれの役割として女子校や男子校があったわけですが、現代社会においては、(3)は別にして、その他の役割は次第に終えつつあると言えるかもしれません。
社会の変化から考えて、男女別学という学校の在り方は難しい
特に女子大については、女性の社会進出を促す男女雇用機会均等法などによる社会情勢の変化や、少子化に伴う大学の経営上の問題等から、男子にも門戸を開かずにおれなくなり、現在、男女共学に変更した大学は大きく増えています。
一方、男子だけしか入学できない大学について言えば、昔は東京帝国大学を筆頭とする旧帝国大学は男子しか入学できませんでした。しかし、戦後のGHQ方針を踏まえ男女共学となり、現在入学者を男子に限るという大学はありません。こういう社会の変化から考えて、男女別学という学校の在り方は今後ますます難しくなってくるのではないでしょうか。
構造としての男女平等が進む中でそれぞれの在り方の模索が始まる
今の小学校などでは児童名簿に男子・女子と言う区分がなくなるなど、構造的には男女平等という「ジェンダー・イクオリティ」化が進みつつあります。しかし一歩踏み入れば、度重なる国会でのセクハラ発言に見られる通り、相変わらず本質は男性中心社会です。その中で女性は、男性と同じ「労働力」としての在り方と、男性の求める「女らしさ」とのはざまで苦しんでいるように思われます。構造としての男女平等が進むことで、むしろ新しい男女のそれぞれの生き方や関係性の在り方の模索が始まると言えるでしょう。
その中で、もし今後、女子大がその社会的意義を見出すとすれば、フェミニズム、ジェンダーといった視点から、女性の自立した生き方やリーダーシップ力を高める教育機関としての新しい役割ということになるかもしれません。その時、男子学生は自らの在り方のモデルとして、どのような新しい男性像を見出すことができるのか、今後、問われてくることになるのではないでしょうか。
(岸井 謙児/臨床心理士・スクールカウンセラー)
この記事に関連するニュース
-
韓国・ある女子大の「共学化」論議で再浮上した「全裸男事件」
KOREA WAVE / 2024年11月17日 12時0分
-
「女子大学の存在意義はどこに」韓国で議論再燃…時代に合わない?それとも必要?
KOREA WAVE / 2024年11月15日 16時30分
-
第18回「平塚らいてう賞」受賞者を決定 -- 計8件の応募より4件(顕彰1件、奨励2件、特別1件)を選出 --
Digital PR Platform / 2024年11月1日 14時5分
-
第18回「平塚らいてう賞」受賞者を決定
PR TIMES / 2024年11月1日 14時0分
-
日本の女子大、人口減少の中で生き残るため変革を模索―英メディア
Record China / 2024年10月26日 23時0分
ランキング
-
1百条委員長がN党立花氏を告訴=SNSなどで名誉毀損容疑―兵庫
時事通信 / 2024年11月22日 22時42分
-
2【判決】“不倫を続けるため殺害” 妻と1歳の娘を殺害した男に無期懲役 裁判長「酌むべき点は皆無」と断罪 《新潟》
TeNYテレビ新潟 / 2024年11月22日 19時22分
-
3日本一の納豆は?消費量が全国46位の大阪で『全国納豆鑑評会』 会長「納豆のおいしさに、まだ目覚めていただいていない」
MBSニュース / 2024年11月22日 18時0分
-
4【続報】自民・田畑議員巡る疑惑 無断党員登録 複数の事業所で
KNB北日本放送 / 2024年11月22日 20時37分
-
5「スギ薬局」が別患者の薬混入し女性死亡 遺族に調剤ミス認め、4000万円支払いで和解
産経ニュース / 2024年11月22日 17時29分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください