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中小企業をも蝕む大企業病の処方箋

JIJICO / 2014年12月12日 12時0分

中小企業をも蝕む大企業病の処方箋

中小企業をも蝕む大企業病の処方箋

大企業病は中小企業にも見受けられる症状

2012年にヤフー株式会社のCEOに宮坂学氏が就任し、ヤフーに更なる成長をもたらすために「爆速経営」を標榜したように、これからの経営環境の中で企業を成長させていくためには、「スピード」が何より重要です。

反面、環境変化に迅速に反応できないような柔軟性に乏しい社風のことを「大企業病」と呼んだりします。大企業病の特徴的な症状としては、「失敗を恐れて新しいことに挑戦しない」「仕事に対する姿勢が受け身になっている」「自部署・自分の都合ばかり主張している」「決定権者が複数いて、責任の所在が不明確になっている」「顧客のことよりも内部の政治的な駆け引きに目が向いている」などが挙げられます。

しかし、こうした問題は大企業に限ったことではなく、中小企業にも見受けられる症状です。特に社歴の長い中小企業では、自社が大企業病に侵されていないかを客観的に見詰め直す必要がありそうです。

症状回復にはトップの覚悟が必要

大企業病に侵された企業は、間違いなく「ジリ貧」になります。商品やサービスのライフサイクルがますます短くなっていく時代の中で、顧客に目を向けず新しいことに挑戦しない企業は、既存商品・既存サービスの衰退とともに売り上げ・利益が減少していきます。

そして、ますます社風が澱んでいくという、負のスパイラルに陥っていきます。このような症状に陥った企業を変革するには、トップの不退転の覚悟が必要です。組織が変わろうとすれば、必ず摩擦や軋轢が生じますが、それでもやり切れるかが問われているのです。

「失敗は悪」という固定観念の打破が克服につながる

前述のヤフー株式会社のCEO・宮坂氏が「10倍挑戦、5倍失敗、2倍成功」をスローガンに、「ネット業界のNHK」とも揶揄されていた同社の変革に着手していったように、大企業病を克服するためにまず始めなければならないのは、「失敗は悪」という固定観念を打破することです。

何か新しいことを始めれば、失敗を体験する可能性は高くなります。しかし、その失敗を否定してしまうようでは、新しいことに挑戦する社風は生まれません。ヤフーでは「爆速」というスローガンの下に、KPI(重視する経営指標)や人事評価制度、表彰制度などを変えていきましたが、新しいことに挑戦する社風をつくるためには企業内でのインフラ整備も必要です。

大企業病の改善は企業経営だけでなく社員のためにもなる

しかし、最も重要なことは、トップが覚悟を示すことです。人間というのは誰しも、「新たなことに挑戦したい」というチャレンジ精神とともに、「できれば変化せずに今のままでいたい」という変化を嫌う気持ちを持ち合わせています。

そして、大企業病に侵された企業では、変化を嫌う人の割合が多数を占めています。トップが変化を求めても、反発は必ず起こります。トップが反発を受けても揺るがない姿勢を示すことで、社員は本気だと気付き、変化する必要性を感じていくのです。

大企業病を克服することは、社員のためでもあります。仕事の喜びや達成感は、高いハードルを乗り越えたときにこそ感じられるものです。それが、仕事のやりがい、人生の生きがいにつながります。新しいことにチャレンジする社風づくりは、企業経営だけではなく社員のためにもなるのです。

(福留 幸輔/組織・人事コンサルタント)

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