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日本のプロ野球選手こそ「代理人制度」活用を

JIJICO / 2014年12月11日 10時0分

日本のプロ野球選手こそ「代理人制度」活用を

日本のプロ野球選手こそ「代理人制度」活用を

中日・大島選手が契約更改を保留。年俸調停も辞さない構え

中日ドラゴンズの選手会長である大島洋平選手が球団と2回目の契約更改交渉に臨みましたが、球団側の提示が初回とまったく同じ条件にとどまったため、契約更改が保留となったと報道されています。大島選手は、今季、打率3割1分8厘の好成績をマークしたほか、安打数186は球団最多タイ記録ですし、ゴールデングラブ賞も受賞していますから、大幅な年俸アップを期待しても不思議ではありません。しかし、球団側の提示は、昨年の年俸にすら届かない厳しいものでした。

落合博満GMは、昨年、大島選手の年俸を7500万円から制限一杯25%ダウンの5625万円まで減俸させた際、「やったときは(年俸を)上げる」と言って本人を納得させたとされています。ところが、今季の大島選手の活躍については「そもそも7500万円がもらい過ぎだった」と言い放ち、来季の年俸提示は7400万円に留め、それ以上の上積み可能性を否定しています。年俸アップの決定権を握る落合GM自身が、今後も交渉の場に同席することを拒んでいますので、大島選手としては「なす術がない」というのが実情です。「大島選手は年俸調停も辞さない構え」との報道にも十分な理由があるわけです。

「代理人制度」が2000年オフからスタート

さて、日本のプロ野球選手の場合、球団との契約更改にあたり、交渉を自分自身で行うのが普通です。ただ、日本人は「奥ゆかしい」ですから、自分の成績やチームへの貢献度を積極的に主張することは必ずしも得意ではありません。そのため、選手が球団と交渉する際に選手の手助けをする「代理人制度」が2000年オフから導入され、すでに15年目となりました。

ただし、球団側は、日本人選手の「代理人制度」導入にあたり、いくつかの条件を付けています。すなわち、(1)代理人は日弁連所属の日本人弁護士に限る、(2)1人の代理人は複数の選手と契約できない、(3)初回の交渉には原則として選手も同席する(2回目以降は双方が合意すれば代理人だけで可)などの条件ですが、最近は、各球団においてそれぞれ柔軟な対応もなされているようです。

「代理人制度」はフェアな交渉を進めるうえでの重要なアイテム

とはいえ、渦中の落合GMは「代理人制度」には否定的のようです。日本球界初の1億円プレーヤーとなり、代理人の力などを借りずして、自分自身の手で高額の年俸を勝ち取ってきた落合GMから見れば、球団との交渉の場に代理人を伴う選手の姿には違和感を覚えるかも知れません。しかし、当時の落合選手には不要だったとしても、自己主張が必ずしも上手でない「普通の選手」にとって「代理人制度」はフェアな交渉を進めるうえでの重要なアイテムと言うべきでしょう。

もちろん、選手の代わりに交渉の矢面に立つことだけが代理人の仕事ではありません。代理契約を締結した選手の試合はすべてチェックする、球団あるいは当の選手よりも記録やデータに精通する、といった「基礎」を構築したうえで、選手と球団の信頼関係にも留意しつつ、弁護士としての技術やノウハウを総動員して成果を上げるのが「真の代理人」のスキルであろうと思われます。

いずれにせよ、交渉の糸口すら見せようとしない中日球団の理不尽な態度を見るにつけ、大島選手には、現状を打破する「有能な代理人」が就いてほしいと願わずにおられません。

(藤本 尚道/弁護士)

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