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教員免許更新制、効果に疑問の実態

JIJICO / 2015年1月6日 13時0分

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教員免許更新制、効果に疑問の実態

更新期限を迎えた教員のうち失効によって退職したのは14人だけ

教員のスキルアップや意識改革のために2009年4月より導入された教員免許更新制。教員免許状に一律10年間の有効期限をつけ、現職は期限前に更新講習を受講・修了しないと失効してしまいます。

導入から6年を目前にした実態を見てみると、2014(平成26)年3月末に免許更新期限を迎えた教員94,118人のうち、自主退職者を除けば、免許失効によって退職した教員は14人だけ。実施当初から100人前後の免許失効者は出ていますが、ほとんどは「うっかり」して更新できなかったのが原因で、退職者は自主退職者を含めて2~3割程度にとどまっています。

そもそも、教員の不祥事の増加や指導レベルの低下などの教育現場における教員の諸問題の改革を目的とする制度と思われがちですが、実質は不適格教員や指導力不足教員を排除するものではなく、あくまでも現職教員の指導力などのリニューアルを図るのが目的です。したがって、世間が期待している教育現場の立て直し、刷新からは遠く離れたものといえるでしょう。

教育に熱心な先生ほど「うっかり失効」の可能性が高くなる

ただし、この制度が、世間が願うような、教育の質の向上、教師のモラルアップに機能すれば、かえって教育現場にさらなる負担をかけることになるかもしれません。更新対象年齢になると、更新講習を受講しなければ教壇に立つことができなくなるこの制度。子どもの教育に熱心な先生ほど、時間の調整がきかず更新講習を受講できずに、「うっかり失効」の可能性が高くなるでしょう。

また、いざ非常勤講師を採用しようとしても、免許を更新していなかったために採用できないケースも想定され、直接・間接的に教育現場、特に子どもたちの授業そのものにマイナスの影響を与えることも起こりえます。

文科省も「なんとかしなければ」と危機感は以前から抱いているようですが、教員も「先生」という立ち位置から「労働者」になっている昨今、制度を表面的に見直すのではなく、根本的な教育改革に本気で取り組まないと、教育をする側も教育を受ける側もいつまでも我慢を強いられることになるかもしれません。

(栢原 義則/進学塾塾長)

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