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クレームストーカー増加、企業がとるべき対策

JIJICO / 2015年1月17日 9時0分

クレームストーカー増加、企業がとるべき対策

クレームストーカー増加、企業がとるべき対策

「クレームストーカー」被害が増加。企業は対応に苦慮

最近、「クレームストーカー」の被害が増加しており、企業などが対応に苦慮していると、毎日新聞が取り上げていました。

クレームストーカーとは、あまり聞きなれない言葉ですが、記事では、「接客や窓口業務などを担当する女性が、仕事に対する苦情を名目に客の男からつきまとわれること」と定義しています。こうしたクレームストーカーに企業などはどう対処するべきでしょうか。

クレーマーに対しては組織全体で対応し、証拠を残す

企業としては、まずは、不当な目的を持ったクレーマーに対する一般的な対応方法を知っておくことが求められます。例えば、クレーマーに対しては、特定の人だけが対応するのではなく、必ず組織全体で対応すること。複数の人間で実際に対応にあたるとともに、組織全体で対応していることをクレーマー自身にメッセージとして伝えることが重要です。

また、不当なクレーム行為であることを明らかにする証拠をしっかりと残すこと。このためには、録音、録画、業務日報などへの詳細な記録化などが有効です。証拠を残していることについても、場合によってはクレーマー自身に伝えることで効果を発揮します。

危険を感じるような場合には、迷わず110番通報を

そして、明らかに犯罪行為にあたるような行為があったときには、直ちに警察の介入を受けること。具体的には、大声でクレーム行為を続けたり、長時間、窓口などに居座り続け、退去を求めても応じないなどでは、威力業務妨害罪や不退去罪が成立する可能性があります。また、クレーム行為の中で、体や財産などに害を加えるような言動があれば脅迫罪、これに金員の要求や不当な強要が加われば、恐喝罪や強要罪成立の可能性もあるでしょう。このような行為により現に危険を感じるような場合には、被害発生を防止するために迷わず110番通報を行うべきです。

そこまでの事態かどうか判断がつかなくても、警察への相談をためらう必要はありませんし、弁護士に対応を依頼するのも一つの方法です。弁護士は、企業の代理人となり、今後の一切の窓口は弁護士となることを先方に伝え、違法行為が伺われる際には、警告を行うとともに、それでも状況に変化がない場合、警察への被害相談や刑事告訴を行ったり、民事事件としても損害賠償請求や営業妨害行為の差止を求める申立を行うことも考えられます。実際には、弁護士が入っただけで問題が収束することもありますので、とにかく早め早めの対応が効果的です。

恋愛感情を否定されても軽犯罪法違反や迷惑防止条例適用の可能性

以上のような一般的な対応とは別に、冒頭のクレームストーカーの場合には、女性に対するストーカー行為を伴っていることが特徴的です。このため、つきまとい、電話、面会要求などでストーカー規制法を利用し、警察による警告、禁止命令の発令、逮捕という流れも考えられます。

しかし、クレームストーカーのケースでは、ストーカー規制法の適用に必要な恋愛感情などがあることを表面上は隠していることも多いと考えられ、ストーカー規制法が有効に機能するか疑問が残ります。ただし、恋愛感情などを本人が否定していたとしても、不安や迷惑を感じる方法でのつきまといに対しては軽犯罪法違反が問えますし、各県の迷惑防止条例が適用できることもあります。

また、クレーマーの動機が特定の女性などの人物への関心にある場合には、組織として、徹底して本人を当該クレーマーに接触させないよう配慮することは最低限、必要です。できれば、行為がエスカレートする前の初期段階で、こうした対応を取りたいところです。

(永野 海/弁護士)

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