盗撮アプリ、開発者に問われる罪は?
JIJICO / 2015年1月18日 9時0分
盗撮アプリ、開発者に問われる罪は?
「無音(微音)カメラ」のアプリを用いた盗撮事件が増加
昨今、スマートフォンに備え付けられているカメラを使った盗撮事件が後を絶たちません。その中でも、盗撮していることが周囲に気づかれないようにシャッター音を消す、あるいは、ほとんど聞こえないようにする、いわゆる「無音(微音)カメラ」のアプリを用いた事例も増えているそうです。
言うまでもなく、スカートの中を盗撮する行為は犯罪です。こういった無音カメラのアプリは、「盗撮行為を助長しているのではないか」「盗撮のために作られているようなものだ」などという意見もあるところでしょう。盗撮した人が罪に問われることは当然ですが、そういった盗撮行為を助長するアプリの開発者や、販売している業者には何らかの罪に問われることはないのか、と素朴な疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。
「シャッター音を出さずに撮影」だけでは盗撮目的と断定できない
まず、可能性の話ですが、仮にアプリの開発者や販売元が罪に問われるとすれば、それは盗撮の罪(各都道府県が定める、いわゆる迷惑防止条例違反)の幇助(ほうじょ)という位置づけになります。「幇助」とは、簡単にいうと、手助けをするという意味です。つまり、この場合、盗撮の罪を犯す者の手助けをしたという理由で処罰され得るのではないかということです。
類似の例でいえば、小型カメラが仕込まれた靴を販売していた業者が迷惑防止条例違反の幇助罪で逮捕されているケースがあります。これと同様に考えれば、無音カメラアプリは盗撮に用いられるものであり、それを開発した人や販売した業者は幇助の罪に問われるようにも思えます。
ただし、仮に普通のスマホカメラ機能と比べてシャッター音が出るか出ないかの違いしかないというアプリの場合、開発者などが迷惑防止条例違反の幇助で検挙される可能性は、まずありえないといえるでしょう。なぜなら、シャッター音を出さずに撮影するということのみから、盗撮目的であることは断定できないからです。例えば、美術館や会議室など静かな場所で音を出すことなく写真撮影をしたいというニーズは、どうしても排除しきれないからです。
迷惑防止条例違反(幇助の罪)として処罰される可能性はある
しかし、先ほど述べた盗撮靴の例のように、盗撮以外の用途にはおよそ使われない機能が付加されているようなアプリの場合(例えば、無音撮影中はスマホ画面が撮影中とわからないようにカモフラージュされる機能がついている、ワンタッチで無音撮影した写真を削除できる機能がついているなど)、専ら盗撮行為を手助けするためのものと判断される可能性があります。
単にシャッター音が出ないというだけにとどまらず、盗撮の用途に特化した機能が付加され、およそ盗撮以外に使われようがないアプリを開発した人やそれを販売した人については、今後、迷惑防止条例違反(幇助の罪)として処罰される可能性はあると思います。
(河野 晃/弁護士)
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