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がん発症も「逆流性食道炎」放置のリスク

JIJICO / 2015年2月5日 11時0分

がん発症も「逆流性食道炎」放置のリスク

がん発症も「逆流性食道炎」放置のリスク

止まらない胸やけや呑酸、逆流性食道炎の可能性

逆流性食道炎は、胃酸を中心とした酸性の内容物が食道内に逆流することにより生じる疾患です。自覚症状としては、胸やけや呑酸(酸っぱい水が上がってくる感じ)などの典型的なものの他に、「物を飲み込んだ時につかえる感じがする」「喉に何かが詰まっている感じがする」といったことが見られるケースもあります。

最近は、逆流性食道炎そのものの増加や、疾患啓蒙活動などにより広く認知されてきたこともあって、上記のような症状のある患者が以前に比べて多く受診するようになってきたようです。

診断に際しては、バリウムによる胃透視で診断するのは困難のため、胃内視鏡検査が必須となります。近頃は、鼻から挿入できる細い経鼻内視鏡も普及しつつありますので、口からの内視鏡に抵抗のある人にはお勧めです。

体重減少、禁煙、ベッドの頭側挙上が症状を改善させる

前述のような酸逆流症状を引き起こす原因としては、高脂肪食・チョコレート・アルコール・タバコなどの摂取が胃酸の分泌を増すといわれていますし、暴飲暴食・早食い・炭酸飲料などは一過性に食道への胃酸の逆流を誘発しやすいとされています。また、アルコール・酢の物・和菓子などは、食品そのものが食道の粘膜を刺激し、不快な症状を起こすともいわれています。

ただし、以上のような食品が、必ずしも症状を助長するわけではありません。どのような状況で症状が現れるかを自覚し、それらをなるべく避ける必要があるでしょう。

実際に逆流性食道炎症状を悪化させるのが確実とされているのは、アルコール飲料とたばこの摂取、それと臥位(がい/寝た状態)が挙げられており、症状を改善させる行為としては体重減少、禁煙、ベッドの頭側挙上が効果的とされています。

「バレット食道」から「食道腺がん」ができることも

逆流性食道炎になると、食道の扁平上皮(へんぺいじょうひ)が傷害され、はがれてしまいます。その修復の際には、食道粘膜が胃や腸の粘膜と同じ円柱上皮で覆われます。この状態を「バレット食道」と呼びます。「バレット食道」自体は悪性のものではありませんが、このような状態から「食道腺がん」という特殊なタイプのがんができることがまれにあります。

逆流性食道炎は優れた酸分泌抑制薬の登場により、症状を緩和するのは比較的容易になってきました。ただし、上記のような、がん発生の可能性も否定できないため、薬剤による症状の緩和で生活の質を改善することはもちろんですが、酸逆流症状がある患者は定期的な胃内視鏡による検査が必要かと思われます。どのようなタイプのがんであっても早期発見、早期診断が重要なのは言うまでもありません。

(佐藤 浩明/消化器内科専門医)

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