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日本人同士の夫婦も無視できない「ハーグ条約」

JIJICO / 2015年2月11日 11時0分

日本人同士の夫婦も無視できない「ハーグ条約」

日本人同士の夫婦も無視できない「ハーグ条約」

日本人同士でもハーグ条約に基づく手続きが進められる可能性

子の引き渡しに関するハーグ条約は、昨年の4月から日本でも関係法が施行されています。少しずつですが、実際に判断を受けたケースが出始めています。

「ハーグ条約?うちは国際結婚じゃないし、関係ないわ」と思う人もいるかもしれませんが、日本人同士の夫婦であっても、それまで子どもと一緒にいた国から、相手に無断で子どもを連れて別の国に行ってしまったら、ハーグ条約に基づく手続きが進められる可能性があるのです。

よって、家族で海外駐在している夫婦が別居するときには、十分に留意する必要があります。

配偶者からの同意が得られない場合は、DVなどの証拠を残す

子ども本人が16歳未満である場合、子どもと共に日本に戻ることについて配偶者に同意をしてもらえれば、まずは「連れ去り」にはなりません。

では、配偶者からの暴力などがひどく、とても同意なんかしてもらえない、といったときはどうでしょうか。この場合、暴力が(親ではなく)子どもにどのような影響を与えているかを意識した証拠を、事前に集めておく必要があります。例えば、子どもの目の前で親に暴力や暴言を吐くような場合は、子どもへの心理的影響は無視できないものがあります。そして、現地のDVの相談所や警察に相談しましょう。また、録音や録画、日記をつけておくなども有効な手段です。録音や録画は携帯電話を壊されてもデータが残るよう、バックアップを取ることも重要です。

上に述べた証拠は、子どもと一緒に帰ってきた場合に、配偶者が元いた居住地への引き渡しの請求をしたときに提出することがありますので、しっかりと保管して置きましょう。

海外の元配偶者から面会交流の申立てがなされることも

昨年の4月以前の連れ去りにはハーグ条約は適用されませんので、それに該当する人々の中には胸をなでおろす人もいるかもしれません。しかし、海外の元配偶者から面会交流を求める手続きを行えるように制度が整備されていますので、そのような申立てがなされる可能性はあります。

元々、子どもの面会交流は親の権利だけでなく、子ども自身の権利でもあります。元配偶者と面会交流することで、子どもに具体的な悪影響が出る場合には、それをきちんと説明すれば良いでしょう。

「自分が相手を信用できない」というだけでは、「親に会いたい」という子どもの気持ちを損ねて良い理由にはならないと考え、もう一度、お父さんとお母さんとして子どもとの会い方を模索してみると良いと思います。

(白木 麗弥/弁護士)

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