「育児疲れ」の妻をケアする夫の責務
JIJICO / 2015年2月15日 13時0分
「育児疲れ」の妻をケアする夫の責務
育児疲れによる悲惨な事件には「自尊感情」の高低が大きく影響
千葉県柏市で「育児に疲れた・・・」との理由で娘2人を殺害した事件が発生しました。一方で、死を目前にした病気の我が子に代わって、自分の命を差し出しても良いという母親もいます。単純に前者が悪く、後者が良いと訴えたいわけではありません。そこには、母親の潜在意識に隠された「自己肯定感」「自己有用感」「自己効力感」といった「自尊感情」の高低が大きく影響しています。
「自分の存在が大切なものである」という自分を認めて愛する感情が育っていれば、自分以外の他者も大切に思うことができます。また、困難な出来事に遭遇したときも「私ならできる、乗り越えられる」という自信が備わっていれば、育児に疲れていたとしても悲惨な事件には発展しません。
自分を認め、愛する心、大切に思う心を育てる
人間の行動というものは、起こす前に感情と思考があります。つまり、子どもを殺めてしまうという行為・行動は、その前にある感情と思考によるものです。また、殺害まではいかなくても、イライラ、モヤモヤした気持ち(感情)を子どもにぶつけ、虐待するなどは母親の不満や不安、満たされない気持ちから起こります。それは、母親自身の幼児期の愛着の歪みによるものが起因しているといわれています。歪みは回避や依存といった性質を持ち、精神の未熟な母親をつくってしまうことも研究で明らかになっています。
そうした歪みに母親自身が気付き、カウンセリングや心理教育で直していくこともできます。自分を認めて、愛する心、大切に思う心、自分は社会で役に立っているという心を育てることが、母親を加害者に、子どもを被害者にさせないことにつながります。
夫の心理的なケアが妻の心に安定をもたらす
「自分で自分を認めて愛すること」。それが難しい場合は、そばにいる夫の力に頼る必要があります。近所付き合い、友だち付き合いが苦手という女性はたくさんいます。夫は母親である「妻」を理解し、心から愛してください。「イクメン」とは育児をすることだけではありません。妻のために何かをする、妻と二人だけの時間をつくるなど、妻に対する心理的なケアも重要です。
仲の良い夫婦間において、妻の疲労度が少ないことがわかっています。妻を労る気持ちが強い夫のもとでは、妻は「自分を肯定されている、満たされている」と感じるため、精神が安定し、心に余裕が生まれます。夫はより妻を深く理解し、愛し、妻の精神(こころ)をサポートしながら共に歩んでいくことが、「子どもを守ること」「妻の育児疲れをケアすること」になるのではないでしょうか。
(きくち みよこ/心理カウンセラー)
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