経営に大打撃を与える社員のデータ持ち出し、予防策は
JIJICO / 2015年3月12日 10時0分
経営に大打撃を与える社員のデータ持ち出し、予防策は
深刻度を増す社員によるデータ持ち出し
会社の社員による企業情報の持ち出しが、よくニュースで取りざたされています。最近では、教育事業ベネッセの顧客データ漏えい、家電量販エディオン社員による営業秘密不正取得、総合電機メーカー東芝の技術情報漏えいなどが記憶に新しいところでしょうか。
インターネットが普及し、一昔前と比べて個人がこういった情報を手軽に売買できる環境が整っていることも一因だといわれています。
ベネッセは顧客への謝罪対応に総額200億円をかけたとの情報も
企業側にとってみれば、顧客データや営業・技術に関する秘密は重要な資産であり、その流出は、場合によっては以後の経営に大きな打撃となる可能性もあります。実際、先述のベネッセは顧客への謝罪対応に総額200億円をかけたとの情報もあるほどです。さらに言えば、顧客や取引先から失った信頼は金額に換算することはできません。
また、一度、情報が流出してしまえば、それを一つ残らず回収することは不可能です。多額の費用と労力をかけて開発した技術や営業秘密の価値が、一瞬にして下がってしまうことになるのです。社員によるデータの持ち出しを防ぐために、企業ができることは何なのか考えてみましょう。
「なんとなく」情報が管理されている状態だと罪の意識が低くなる
まず、就業規則への守秘義務の明記・社員教育の徹底などにより、守秘義務の存在と営業秘密の重要性を周知徹底させることです。なお、社員と「守秘義務誓約書」をかわすことも大切です。
次に、営業秘密にあたるデータを適切に管理することです。受付カウンターの中に無造作に顧客名簿を保管していませんか?重要なデータが入ったパソコンに社員の誰でもがアクセスできる状態になっていませんか?こういった「なんとなく」情報が管理されている状態だと、不正にデータを取得することが簡単であるだけでなく、社員もそのデータの重要性を認識しづらくなって、持ち出しに対する罪の意識が低くなることがあります。
また、営業秘密は不正競争防止法の保護対象となっていますが、こういったすざんな管理体制の場合は、保護すべき営業秘密として認められない可能性も出てきてしまうのです。
軽微なものであっても持ち出した社員への処遇は厳格に
万が一、情報の持ち出しが起きてしまった場合、たとえ軽微なものであったとしても、その社員への処遇を厳格に行うべきです。持ち出し社員に対する制裁としてだけではなく、会社として曖昧な処遇にしてしまうと、他の社員への警告の意味合いが薄くなってしまうからです。
さらに、営業秘密の不正取得や漏えいは、社員の会社への不満や忠誠心の低さが一因となる可能性も指摘されています。公平な人事考課・査定で社員を適切に評価したり、日ごろからコミュニケーションを密にして社内の雰囲気を良くするなど、人間同士の信頼関係を強くしていくことも重要な予防策と言えます。
(大竹 光明/社会保険労務士)
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