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中国人「猛烈買い」の実態を探る

JIJICO / 2015年3月21日 9時0分

中国人「猛烈買い」の実態を探る

中国人「猛烈買い」の実態を探る

1人100万円を超える購入額も珍しくない

中国の旧正月にあたる春節(2月18日~3月5日)。福岡市内のヨドバシカメラでは、炊飯器や化粧品が飛ぶように売れていました。店内の通路は買い物袋を手にしたアジア系旅行者でごった返し、圧巻なのは購入した商品を入れるキャリーバッグが品薄になるほど売れていたことです。一人当たり100万円を超える買い物をした中国人観光客もざらだといいます。

観光庁が発表した2014年の訪日外国人消費動向調査(速報)によると、訪日外国人旅行者数は前年比29.4%増の1341万人。国別に見れば、台湾282万人(前年比28.0%増)、韓国275万人(同12.2%増)、中国240万人(83.3%)と続きます。

旅行消費額(一人当たりの旅行支出額X訪日外国人旅行者数)は、2兆305億円(前年比43.4%増)。国別では中国5583億円(同102.4%増)、台湾3544億円(同43.2%増)、韓国2090億円(5.7%増)が上位3国となっています。

中国人旅行者の激増と旺盛な消費活動の要因

この中で目を引くのが、韓国の旅行消費額の伸びが鈍化(一人当たりの旅行支出額が7.5万円と前年比マイナス5.8%)しているのに対して、中国の旅行消費額は倍増していることです。中国の一人当たりの旅行支出額は23.1万円(同10.4%)であり、訪日中国人の伸びが顕著であることが注目されます。

福岡から釜山は215キロ、福岡から上海は879キロと福岡から東京の886キロよりも近いことになり、日帰りも可能な位置関係にあるという距離的な要因のほか、中国人旅行者の激増と旺盛な消費活動の要因は、次の2つが考えられます。

地価の競り上がりを期待しての日本買い

一つは、本物志向の浸透が挙げられます。深圳在住の中国人女性社長は「本当にいいものは、地元では買わない。少々高くても上海の百貨店、あるいは日本に出向いて買い求めます。偽物が少ないから」と話していました。信頼と安心のブランドが「Made in Japan」なのです。

また、中国の習近平政権の腐敗撲滅キャンペーンが、もう一つの要因として挙げられます。習近平政権はキツネ狩り、トラ狩りといわれるかつて政権中枢にいた大物に対しても汚職一掃の手を緩めない政策を進めています。そのため、汚職に手を染めていた人々が巨額の資金を日本のマンションや不動産に投資、あるいは親族を日本に住まわせることで追及をかわそうとしています。

一方、水源を求めて北海道に押し寄せる中国人、あるいは国境の島、長崎県対馬市の経営難に陥ったホテルを韓国資本が買収するなど、東京五輪に向けて地価が競り上がる日本買いが進んでいる点も考慮すべき要因です。

全国津々浦々に免税店が拡大できる制度が登場

こうした状況を受け、観光庁はこの4月から地方の商店街や物産センター、クルーズ埠頭など、全国津々浦々に免税店が拡大できる制度を緩和します。骨子は第三者への免税手続の委託を可能とし、一括カウンター設置を実現。そして、外航クルーズ船の寄港時に埠頭へ免税店を臨時出店する手続きを簡素化します。

こうした取り組みにより、インバウンド需要を取り込み、地域の活性化につなげようという目論見です。もてなす日本側も通訳や看板表示、コンシェルジェなど、旅行者が快適に過ごせるようなハードやソフトの整備が必要になってきます。

(村上 義文/認定事業再生士)

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